著者
髙橋 賢人 相原 悟 元木 悟
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.295-303, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
33
被引用文献数
4 2

鮮度保持に関する研究は多くの野菜で行われており,果梗やへたなどが付いている野菜は,それらを介して蒸散が行われ,レモンやナス,食用ホオズキなどでは,へたや萼の有無が鮮度保持に影響を及ぼすことが報告されている.しかし,ミニトマトでは,へたの有無が収穫後の貯蔵性などに及ぼす影響について検討した報告は見当たらない.本研究では,果形の異なる4品種のミニトマトを用い,へたの有無が貯蔵性に及ぼす影響を検討した.その結果,25°C貯蔵において,重量減少率および呼吸量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か低く,水分含有率およびアスコルビン酸含量は,いずれの品種においても,へたなしがへたありと同等か高かった.さらに,カビは,いずれの品種においても,へたなしでは発生せず,へたありでは発生した.なお,カビ発生率は,丸・偏円形の ‘千果’ および ‘ミニキャロル’ が洋ナシ形の ‘アイコ’ および ‘ロッソナポリタン’ に比べて有意に低かった.以上から,ミニトマトの25°C貯蔵において,へたなしがへたありに比べて貯蔵性に優れることが示唆された.
著者
児島 清秀 元木 悟
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アスパラガスではジベレリンの特にジベレリン1(GA1)の方が休眠打破の役割を持っているようである。ABAが休眠誘導の作用をしている根拠は本実験では得られなかったが、GA1を除いてもABA、ジャスモン酸(JA)、ジャスモン酸メチル(MeJA)、トランスゼアチン(Z)の4種類もの植物ホルモンが萌芽において最も高い濃度で存在していた。これは養分の転流や細胞分裂促進、頂芽優勢など、萌芽の急成長のために必要な機能を発現させるためだと考えられる。また、植物の変化が激しい部位で多種多量の植物ホルモンが作用しているとも言える。IAA、ABA、Z、ジベレリン4(GA4)がこれに該当するだろうと推察できた。
著者
元木 悟 柘植 一希 北條 怜子 甲村 浩之 諫山 俊之 藤尾 拓也 岩崎 泰永
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.269-279, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した‘ロッソナポリタン’の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.
著者
佐藤 達雄 塩原 由紀江 大森 明文 芳野 未央子 久芳 慶子 高田 圭太 池田 由紀 元木 悟 小倉 秀一 工藤 光夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.303-307, 2009 (Released:2009-07-25)
参考文献数
13

黒色の液状マルチ資材が地温ならびにコマツナの生育,収量に及ぼす影響を明らかにするため,処理量を1,0.5,0.25 L・m−2区および無処理区の4水準3反復,播種日を2007年9月21日,10月5日,10月20日および2008年1月22日の4水準として組み合わせ,栽培試験を行った.その結果,液状マルチ資材は,散布量に関わらず無処理に比較して増収することが明らかになった.地下5 cmの温度を解析したところ,液状マルチ散布により最高地温は上昇するが,9月21日播種を除き最低地温は低下した.この現象はコマツナの生育初期に顕著であったが,生育に伴って,その差は小さくなった.播種後10日間の毎正時積算地温に有意な差は認められなかった.地温の日較差の増大はコマツナの増収に寄与した可能性が考えられた.
著者
蕪野 有貴 田口 巧 松永 邦則 高橋 ゆうき 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.345-357, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
5 6

アスパラガスの露地栽培において,1年間の株養成後,定植翌年の春に萌芽してくる若茎をすべて収穫し,その株の収穫を終了させる栽培法(1年養成株全収穫栽培法)を開発し,採りっきり栽培と名付けた.採りっきり栽培では,アスパラガスのセル成型苗を,新規ホーラーを使って深植えすることにより,霜害や低温のため,これまでは定植が不可能とされてきた早春の定植を可能にした.本研究では,採りっきり栽培の定植適期を検討するため,ムラサキアスパラガスの‘満味紫’およびグリーンアスパラガスの‘太宝早生’の2品種を用いて,定植時期が異なる株の生育および収量を比較した.その結果,両品種ともに,新規ホーラーを使って早期に定植することにより,大株が養成できた.また,定植時期が早まるに従ってL級規格以上の太ものの若茎の収量が増え,総収量および可販収量も増える傾向であった.さらに,春季の出荷端境期となる4月に収量が増え,露地栽培の年間平均単収に比べて,収穫1年目の収量だけで同等かそれ以上となった.採りっきり栽培は,省力かつ低コストで高品質多収栽培が可能であり,高収益が見込める新栽培法である.
著者
柘植 一希 大中 創太 今井 峻平 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-195, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

スイートコーンは,野菜類のなかでも収穫後の品質劣化が早い品目である.品質劣化のうち,子実に凹みや隙間が発生するしなびは,生産から販売までの各現場で問題となっている.また,スイートコーンは,収穫後に苞葉を取り除いた形態や,柄や茎を付けた形態に調製することが可能である.本研究では,スイートコーンのしなびの発生に着目し,しなび評価基準を作成するとともに,3品種を用い,貯蔵形態が貯蔵性に及ぼす影響を明らかにするため,しなび評価,重量減少率および部位別の水分含量の貯蔵形態別の経時変化を温度10°Cおよび湿度70~80%の暗黒条件下で貯蔵し,収穫14日後まで調査した.しなび評価は,いずれの品種も,「むき」が収穫3日後からほかの貯蔵形態に比べて有意に高い点数を示し,「むき」のしなびは,ほかの貯蔵形態に比べて早期に発生することが明らかになった.「むき」の重量減少率は,‘ゴールドラッシュ’ では収穫3日後から, ‘味来390’ では収穫10日後から「慣行」に比べて有意に高い値または傾向を示した.「むき」の子実の水分含量は,いずれの品種も重量減少率とほぼ同じ収穫後日数から,「慣行」に比べて有意に低い値を示した.「むき」の穂全体の水分含量の減少率は,いずれの品種も,「慣行」に比べて高い傾向であったことから,苞葉を取り除くことにより,穂全体の水分が著しく消耗するものと考えられた.播種時期による比較では,いずれの播種時期および品種においても,「むき」はしなびが収穫3日後以内に発生したが,その要因と考える重量減少率および子実の水分含量の影響は,播種時期および品種によって異なった.以上の結果,しなびのおもな要因は,子実からの水分の消耗と考えられるが,今後はさらに品種数を増やし,子実の硬さや呼吸量,炭水化物含量の消長などを調査することにより,しなびの発生に影響を及ぼす要因をさらに詳しく検討する必要がある.
著者
元木 悟 西原 英治 北澤 裕明 平舘 俊太郎 篠原 温
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.431-436, 2006-12-15
被引用文献数
2

アスパラガスでは改植後,新植圃場に比べて減収し,若年株から欠株が発生するなどの原因不明の生育障害が多く見受けられる.本研究では,アスパラガスの連作障害における要因の一つであると考えられるアレロパシーの関与について検討した.アスパラガスの根圏土壌では,アスパラガスおよびレタスに対して強い生育阻害活性が認められた.その活性は,根圏土壌の塩類の集積やpHの変動,無機養分の異常によるものではなかった.また,アスパラガスの茎葉の生育阻害活性を検討したところ,茎葉をそのまま土壌中にすき込んでもアスパラガスの生育阻害や減収の大きな原因にはならないと考えられた.一方,アスパラガスの貯蔵根には強い生育阻害活性が認められ,その貯蔵根から惨出するアレロパシー物質がアスパラガスの連作障害の一つの要因であると推察された.
著者
堤 淑貴 陣在 ゆかり 岩崎 泰永 元木 悟
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.136-145, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
32

ナスの新たな仕立て法に関する基礎的な知見を得るため,ナスの2本仕立て栽培における育苗期の摘心処理が苗および定植後の生育に及ぼす影響を検討した.その結果,育苗期の摘心処理により育苗日数は慣行区に比べて長かった.本葉節摘心区が子葉節摘心区に比べて9~10日短かった.成苗率は本葉節摘心区が慣行区と同じ100 %,子葉節摘心区が慣行区および本葉節摘心区の70~80 %であった.本葉節摘心区では,主枝開花段数および一次側枝数は慣行区と同等であったものの,側枝乾物重,側枝着果数,可販果数,可販果収量ともに,慣行区と同等か有意に多かった.また,本葉節摘心区では,第1花までの葉数は慣行区に比べて有意に少なく,主茎長および草丈は栽培期間を通して慣行区に比べて有意に短かった.以上から,育苗期の摘心処理は,主茎長および草丈を抑制できる仕立て法の1つになると考えられ,摘心は主枝となる側枝の生育が揃い,子葉節に比べ育苗期間の短縮が見込まれる本葉節で行うことが望ましいと考える.また,摘心を行うことで着果開始節位が低下し,初期収量が慣行と同等か有意に多くなることが明らかとなった.
著者
元木 悟 西原 英治 高橋 直志 Hermann Limbers 篠原 温
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.603-609, 2007 (Released:2007-10-24)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

アスパラガスのアレロパシー物質に対して吸着性能が優れた活性炭を,育苗培養土に混合し,その影響を調べた.その結果,育苗時の根から滲出されるアレロパシー物質を活性炭が吸着し,生育が早まり,育苗期間を短縮させる可能性があることが示唆された.本手法を8科30種の園芸作物に適用した結果,トマト,トルコギキョウ,レタス,キュウリ,キャベツ,ブロッコリーおよびアスパラガスなどで対照区に比べて育苗培養土に活性炭を混合あるいは添加した効果が認められた.なお,育苗培養土への活性炭添加の効果には品種間差異が認められたが,アレロパシー活性が高いと報告されている園芸作物に対しては生育を早めさせたことから大いに利用できる技術であると考えられた.
著者
北條 怜子 柘植 一希 樋口 洋子 山初 仁志 加藤 正一 藤尾 拓也 岩崎 泰永 元木 悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.137-148, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
39
被引用文献数
6

ミニトマトは,リコピンなどの機能性成分を多く含み,日持ち性もよく,食味が優れることから需要が増えている.しかし,慣行栽培(以下,慣行) では,誘引やつる下ろしなどの作業に多くの労力を要することが問題となっており,栽培管理の省力化や軽作業化が図れる栽培技術の開発が望まれている.著者らは,露地のミニトマトの新栽培法として,慣行に比べて疎植にし,側枝をほとんど取り除かない栽培法を,2010年に開発した.その新栽培法は,ソバージュ栽培(以下,ソバージュ)と呼ばれ,全国的に普及し始めているものの,収量や品質,生育などについて慣行と比較検討した報告がない.そこで本研究では,露地夏秋どりミニトマトにおけるソバージュの栽培体系の確立を目指して,品種特性が異なるミニトマト2品種を用い,ソバージュと慣行を2年間にわたって比較検討した.その結果,ソバージュは慣行に比べて株当たりの総収量および可販果収量が多いことが明らかになった.また,単位面積当たりでも,ソバージュは株数が慣行に比べて6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等または同等以上の収量が見込めることが明らかになった.さらに,ソバージュは茎葉の繁茂による日焼け果の軽減効果も認められた.また,糖度は慣行と同等か低い傾向であったが,リコピン含量は慣行と同等か高まる傾向であった.
著者
元木 悟 柘植 一希 北條 怜子 甲村 浩之 諫山 俊之 藤尾 拓也 岩崎 泰永
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.269-279, 2019

<p>露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培(ソバージュ栽培,以下, ソバージュ)の収量は,主枝1本仕立て栽培(以下,慣行)に比べて,株数が6分の1程度であるにも関わらず,慣行と同等以上の収量が見込める.また,ソバージュは収穫作業以外の作業時間を慣行に比べて有意に短縮できる.そこで本試験では,ソバージュを全国に普及させるため,温暖地の神奈川圃場に加え,ソバージュと同じミニトマトの夏秋どり栽培(ただし,ハウス雨除け夏秋どり栽培)が一般的である岩手および広島圃場おいて,3年間(岩手圃場は2年間),ソバージュと慣行の収量および品質を比較した.また,ソバージュの経済性を検討するため,ミニトマトの夏秋どり栽培の農業経営指標を参考に,各地域におけるソバージュの経済性評価を行った.その結果,露地夏秋どりミニトマトのソバージュにおける収量については,既報と同様,岩手および広島圃場においても単位面積当たりの収量は慣行と同等であり,株当たりの収量は慣行に比べて多かった.ソバージュの品質については,岩手圃場では既報と同様,ソバージュの糖度は慣行と同等か低い傾向であったものの,リコペン含量は栽培法および栽培年の間に一定の傾向が認められなかった.一方,広島圃場では,ソバージュの糖度およびリコペン含量は慣行と同等か高い傾向であった.ソバージュの経済性評価については,広島県の農業経営指標を参考に,本試験で実際に栽培した'ロッソナポリタン'の可販果収量の月別平均値を用い,既報の作業性の結果を参考に試算した結果,ソバージュの利益は10 a当たり86万~110万円,労働時間は333~568時間,1時間当たりの利益は1,933~2,661円であった.</p>
著者
元木 悟 上杉 壽和 小澤 智美
出版者
長野県野菜花き試験場
雑誌
長野県野菜花き試験場報告 (ISSN:02861321)
巻号頁・発行日
no.12, pp.19-29, 2006-03
被引用文献数
1 4

長野県におけるアスパラガスの作型は,露地栽培,ハウス半促成栽培,伏せ込み促成栽培が分化しており,伏せ込み促成栽培を除き,春だけ収穫する普通栽培,夏から秋の収穫を加えた2季どり栽培,春から秋まで連続して収穫する長期どり栽培が普及している.しかし,長期どり栽培は,立茎方法や収穫期間が従来の2季どり栽培とは異なるため,これに適応した立茎方法と,適正な立茎数を明確にする必要がある.そこで,本試験では,寒冷地のアスパラガスの露地長期どり栽培,ハウス半促成長期どり栽培において,立茎方法および立茎数が収量に及ぼす影響について検討した.1.長期どり栽培では,2季どり栽培より2~3週間早く春どりを打ち切り,2季どり栽培の株養成期間も連続して収穫を続けることで増収した.2.長期どり栽培の立茎方法には,一斉立茎,順次立茎があり,いずれの立茎方法でも収量に差がなかった.3.長期どり栽培の株養成量やGI'は,2季どり栽培より多く,翌春の春どりが増収した.4.長期どり栽培の適正な立茎数は,株当たり5~6本であった.
著者
佐藤 達雄 塩原 由紀江 大森 明文 芳野 未央子 久芳 慶子 高田 圭太 池田 由紀 元木 悟 小倉 秀一 工藤 光夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.303-307, 2009-07-15
参考文献数
13

黒色の液状マルチ資材が地温ならびにコマツナの生育,収量に及ぼす影響を明らかにするため,処理量を1,0.5,0.25 L・m<sup>−2</sup>区および無処理区の4水準3反復,播種日を2007年9月21日,10月5日,10月20日および2008年1月22日の4水準として組み合わせ,栽培試験を行った.その結果,液状マルチ資材は,散布量に関わらず無処理に比較して増収することが明らかになった.地下5 cmの温度を解析したところ,液状マルチ散布により最高地温は上昇するが,9月21日播種を除き最低地温は低下した.この現象はコマツナの生育初期に顕著であったが,生育に伴って,その差は小さくなった.播種後10日間の毎正時積算地温に有意な差は認められなかった.地温の日較差の増大はコマツナの増収に寄与した可能性が考えられた.<br>
著者
元木 悟 西原 英治 北澤 裕明 平舘 俊太郎 篠原 温
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.431-436, 2006 (Released:2006-12-27)
参考文献数
25
被引用文献数
6 11

アスパラガスでは改植後,新植圃場に比べて減収し,若年株から欠株が発生するなどの原因不明の生育障害が多く見受けられる.本研究では,アスパラガスの連作障害における要因の一つであると考えられるアレロパシーの関与について検討した.アスパラガスの根圏土壌では,アスパラガスおよびレタスに対して強い生育阻害活性が認められた.その活性は,根圏土壌の塩類の集積やpHの変動,無機養分の異常によるものではなかった.また,アスパラガスの茎葉の生育阻害活性を検討したところ,茎葉をそのまま土壌中にすき込んでもアスパラガスの生育阻害や減収の大きな原因にはならないと考えられた.一方,アスパラガスの貯蔵根には強い生育阻害活性が認められ,その貯蔵根から滲出するアレロパシー物質がアスパラガスの連作障害の一つの要因であると推察された.