著者
井上 優 原田 和宏 佐藤 ゆかり 樋野 稔夫
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.158-159, 2016 (Released:2016-04-20)
参考文献数
4

本研究の目的は,二重課題処理能力,転倒リスク,転倒発生率に対する二重課題トレーニング(Dual-task training:以下,DTT)の効果に与える脳機能障害の影響を検証することである。本研究に参加した脳卒中患者は18 名で,DTT 実施後,Dynamic gait index(以下,DGI)得点は有意に改善し,転倒リスクが軽減する傾向が示された。前頭葉機能はFrontal assessment battery,注意機能はTrail making test part A とpart B の差分により評価し,DGI 得点変化量との関連性を相関分析により検証した。その結果,両者ともに有意な相関関係は示さなかった。この結果は,加齢や脳の損傷により生じた脳機能障害の程度に影響を受けずDTT の効果が得られることを示唆するものであり,DTT 導入に対する基礎資料として有用な結果と推察された。