著者
薩 秀夫 権藤 祐輔 和多利 研二 清水 誠
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.39-41, 2017 (Released:2019-11-11)

著者らはこれまで腸管とタウリンの相互作用につ いて研究を進め、腸管上皮モデル細胞を用いてタウ リンの腸管吸収に関わるタウリントランスポーター (TAUT)の特性・制御を明らかにするとともに、腸炎 症に対するタウリンの予防・軽減作用を報告してき た。本研究ではタウリンの遺伝子レベルでの作用機 序を明らかにすることを目的とし、タウリンがヒト 腸管上皮モデル細胞における遺伝子発現全般に対す る作用を、DNAマイクロアレイを用いて解析した。 その結果、タウリンは thioredoxin interacting protein(TXNIP)の mRNA発現を顕著に亢進する ことが見出され、さらに TXNIP のタンパク質レベ ルでの発現亢進も確認された。また TAUT の基質で あるβ-アラニンやGABAはTXNIPのmRNA発現 に影響を与えなかったことから、タウリンによる TXNIP 発現亢進はタウリンの構造に極めて選択的 であることが示唆された。さらにタウリンは TXNIP のプロモーター活性を亢進することが明らかとなり、 これよりタウリンは転写レベルで TXNIP の発現を 亢進することが示唆された。