著者
横井 正信
雑誌
福井大学教育・人文社会系部門紀要 (ISSN:24341827)
巻号頁・発行日
no.4, pp.113-173, 2020-01-17

2015年秋に始まったいわゆる難民危機に際して、メルケル首相は難民に対して事実上国境を開放する政策をとり、その結果ドイツには大量の難民が流入する結果となった。CDU/CSU内では、すでにそれまでも財政拡張的な社会保障政策、規制強化的な労働市場政策、従来の家族政策や原子力政策の転換等によって中道左派有権者へと支持基盤を拡大し、将来的に緑の党との連立を可能にするというメルケルの「党近代化」路線に対して、経済自由主義派や価値保守派からの批判が高まっていた。そのような状況のなかで勃発した難民危機は、CDU内及びCDU とCSU の間に激しい内部対立と混乱をもたらし、2017年連邦議会選挙を中心としたその後の一連の選挙におけるCDU/CSU の敗北へとつながった。その結果、CDU とCSU の党首であるメルケルとゼーホーファーはともに党首を辞任せざるを得なくなったが、このことは必ずしもメルケルの路線が否定されたことを意味せず、社会の大きな変化に起因する支持基盤の縮小に対して、CDU/CSU をどのようにして「国民政党」として維持していくのかという課題は依然として解決されていない。
著者
横井 正信
出版者
福井大学教育地域科学部
雑誌
福井大学教育地域科学部紀要 (ISSN:2185369X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.167-215, 2015

福井大学教育地域科学部紀要(社会科学) , 6, 2015
著者
横井 正信 近藤 潤三
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近年の経済のグローバル化、経済成長率の低下、国民の高齢化といった先進諸国共通の構造変動がドイツの協調重視型の経済社会・福祉国家体制をどのように変容させつつあるかを、具体的な政策対応の面から調査分析した。その結果、福祉国家体制再編のための政策面での選択肢の幅の狭さが二大政党の政策面での実質的接近をもたらすと共に、両党間の差異を不鮮明化させ、従来のドイツの政党システムに大きな変化をもたらす可能性があることを明らかにした。