著者
武政 二郎 横井川 久己男
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.217-223, 2012 (Released:2013-10-08)

腸菅出血性大腸菌(EHEC)O157のべロ毒素(VT)産生に対するクミンの抑制能力を調べた。クミン抽出液は70%エチルアルコールを用いて調製した。0.02%クミン抽出液を添加したLB(Luria-Bertani)培地を用いて,37℃で定常期までEHECO157を培養したとき,ベロ毒素生産はVT1とVT2共に有意に低下した。また,この培養条件では,増殖抑制や誘導期の遅延は認められなかった。クミン抽出液の活性成分は,HPLC法によって精製され,4-イソプロピルベンズアルデヒド(IPBA)と同定された。EHEC O157のVT生産に対するIPBAの抑圧効果を調べた結果,細胞内および細胞外のべロ毒素量は,IPBA濃度の上昇とともに低下した。この結果は,IPBAがEHEC O157の有害性を低下させることに有用であることを示唆する。
著者
武政 二郎 横井川 久己男
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.217-223, 2012-07-31
参考文献数
31

腸菅出血性大腸菌(EHEC)O157のべロ毒素(VT)産生に対するクミンの抑制能力を調べた。クミン抽出液は70%エチルアルコールを用いて調製した。0.02%クミン抽出液を添加したLB(Luria-Bertani)培地を用いて,37℃で定常期までEHECO157を培養したとき,ベロ毒素生産はVT1とVT2共に有意に低下した。また,この培養条件では,増殖抑制や誘導期の遅延は認められなかった。クミン抽出液の活性成分は,HPLC法によって精製され,4-イソプロピルベンズアルデヒド(IPBA)と同定された。EHEC O157のVT生産に対するIPBAの抑圧効果を調べた結果,細胞内および細胞外のべロ毒素量は,IPBA濃度の上昇とともに低下した。この結果は,IPBAがEHEC O157の有害性を低下させることに有用であることを示唆する。
著者
横井川 久己男
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

大腸菌O157に対する電子レンジのマイクロ波の影響を調べた。本病原体の電子レンジ処理により、生細胞数と酸耐性は共に低下した。また、電子レンジ処理後に新たに増殖した本菌のベロ毒素生産性も低下した。種々の食品に接種した本病原体に対しても電子レンジのマイクロ波は、同様の作用を示した。電子レンジの二次的な加熱作用を排除して、37℃で本菌にマイクロ波を照射した場合にも,病原性は低下した。マイクロ波の作用は、細胞密度の増加に伴って作動するクオラムセンシング機構(特にSdiAタンパク質)に影響を与え、病原性を低下させることが判明した。大腸菌O157による食中毒の防止にマイクロ波は有用であると思われた。