著者
畠山 栄子 横内 靖典 田中 博明 石井 宏
出版者
城西大学
雑誌
城西大学研究年報. 自然科学編 (ISSN:09149775)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-79, 1991-03

今回は, 一般・集中・毎週グループの三つのグループに対し, 一般グループについては, 特別な条件は与えず, 毎週1回の体育実技を受講させ, 集中グループには5日間の集中授業のみで, その中で毎日3分間の踏台昇降運動をトレーニングとして条件を与え, その他は一般グループと同様に体育実技の授業を午前9 : 30〜午後4 : 30まで, 途中昼休みとして40分間の休憩を取っての毎日厳しい集中授業を実施。そして毎週グループは一般グループと同様, 週1回の体育実技を行うと共に毎授業時に準備運動として, 3分間の踏台昇降運動を実施した。そしてこの3グループ間の一年間の体育実技の効果を最初の測定(4月の体力測定の中の踏台昇降テスト)と最後の測定(12月の体力測定の中の踏台昇降テスト)との比較によってみたものである。ただし, 集中グループについては, 踏台昇降テストは集中授業の初日と集中授業の最終日に実施している。その結果, 何の条件も与えていないグループの最初の測定の結果と最後の測定の結果の値は, 平常脈・1回目の脈拍・2回目の脈拍・3回目の脈拍・身体効率指数, それぞれに多少良い傾向を示しているが, その差はあまり大きなものではない。つまり4月の体力(持久性に限り)からわずかながらの向上をみるに留まった。集中のグループについては短期間のトレーニングを与えることにより, 最初の測定の結果では, 一般グループを全ての平均値が大きく下まわっていたにもかかわらず, 最後には, 一般グループに追いつき, 更にはわずかながらではあるが追い越している。このことから一時的にでも継続してトレーニングをすれば, それなりの効果を上げることができる。これは当然のことであるが, そのトレーニングの内容が, わずか3分間の踏台昇降(男子40cm・女子35cmの高さの台使用)運動だけでトレーニング効果を得ているという事に興味をひくのである。最後に毎週グループについては, 当然の結果を得ているという事が証明され, やはり週に一度だった3分間の踏台昇降運動で, これ程大きな成果を上げることができたという事は, 大きな意義を持つものである。そして今回トレーニングを積んでいる者といない者とは, 脈拍ののび率の結果からもわかるように, ある刺激に対する反応の仕方がトレーニングを積んでいない者は, 大きく反応し, トレーニングを積んでいる者は反応が少ない。つまり負荷に対する許容量が大きいという事が証明された。これからも, 常日頃の運動不足により運動許容量が小さくなってきている人達は小さな刺激に対しても, 大きく反応してしまい, 各自の体力の低下が, 日常生活にも影響してくるようになる事は必然であろう。体力はちょっとした心がけで維持増進する事ができるのである。次回は, 特に毎週グループの学生の追跡調査をし, 現在の体力がどのように変化していくかを調査したいと考える。