著者
有働 恵子 武田 百合子 横尾 善之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_799-I_804, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
17
被引用文献数
3 8

山地から河川,そして海岸までの土砂収支が砂浜侵食に及ぼす影響を評価するため,全国の土砂生産量,ダム堆砂量,砂利採取量,河床変動量,ならびに相対的海面水位変化と,1950年頃から1990年頃にかけての77沿岸区分別砂浜幅変化データを用いて,沿岸区分別流域における土砂収支が砂浜侵食に及ぼす影響を評価した.全国の土砂生産量,ダム堆砂量,ならびに川砂利採取量の1950年~1990年の積算値は,それぞれ560,000万m3程度,80,000万m3程度,ならびに160,000万m3程度と推定された.一方,海域では,砂浜からの消失土砂量および海砂利採取量は,それぞれ200,000万m3および70,000万m3と推定された.使用したデータのみでは流域の土砂収支を説明できないものの,川砂利採取により海岸への供給土砂が大幅に減少し,これが海岸侵食の一要因となった可能性が高いことを定量的に示した.