著者
川田 邦明 横山 ひろみ 尾崎 邦雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.306-312,295, 1989-05-10 (Released:2009-09-10)
参考文献数
34

新潟平野中央部の金属製品工場が多数立地する地域でトリクロロエチレン, テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-トリクロロエタン, cis-1, 2-ジクロロエチレンおよび1, 1-ジクロロエタンによる地下水汚染を確認した。cis-1, 2-ジクロロエチレンと1, 1-ジクロロエタンは, 各々, トリクロロエチレンと1, 1, 1-トリクロロエタンの分解生成物と考えられた。また, この地域の地下水の水質は, 沖積層では大部分がアルカリ土類炭酸塩型であり, 洪積層では地域により異なっていた。そして, 低沸点有機塩素化合物による汚染は沖積層のうち最も浅い層を中心に進行したが, 洪積層には達していないと考えられた。さらに, 金属製品工場にある深さ10mの井戸における地下水の通年調査から, 低沸点有機塩素化合物の濃度は地下水位や, 調査井戸またはその周辺にある井戸の使用状況の変化による影響を受けると考えられた。