- 著者
-
横山 恭子
- 出版者
- 日本景観生態学会
- 雑誌
- 景観生態学 (ISSN:18800092)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.1, pp.33-38, 2011-07-31 (Released:2012-04-25)
- 参考文献数
- 21
生物多様性の保全に向けて,GISを利用し,都市近郊の里山における土地利用の変遷を定量的に明らかにした.対象地全域の面積は,14.7 km2である.顕著であった土地利用の変化は,以下の5つである.(1)昭和22年から平成18年に5.0 km2の針葉樹林が広葉樹林へと変化した.昭和22年の針葉樹林の面積7.6 km2の66%にあたる面積であった.(2)昭和22年から平成18年の間に1.9 km2の森林や田畑などが集落へと変化した.高度経済成長期と重なる昭和44年から昭和52年に,1.5 km2と最も多くの田や森林などが集落へと変化した.(3)昭和22年から平成18年を通じて2.1 km2の主として針葉樹林および広葉樹林がゴルフ場へと変化した.ゴルフ場に変化した針葉樹林と広葉樹林をあわせるとゴルフ場に変化した全土地利用の84%におよぶ.特に,昭和32年から昭和44年に,0.7 km2と最も多くの森林などがゴルフ場へと変化した.(4)昭和22年から平成18年に,3.1 km2の主として針葉樹林および広葉樹林が荒地へと変化した.荒地化が最も進んだのは,昭和52年から昭和61年にかけてであった.調査期間を通じてみても,減反や高齢化などによる放棄田から荒地の変化(0.4 km2)を樹林から荒地への変化(1.1 km2)が上回っていることがわかった.(5)調査期間においては,大幅な田の樹林化は進んではいないと解せられた.