著者
寺田 己保子 岩本 紗八香 井上 薫 横山 真理 高田 奈津子 澤田 篤子 伊野 義博 松本 絵美子
出版者
日本学校音楽教育実践学会
雑誌
学校音楽教育研究 : 日本学校音楽教育実践学会紀要 (ISSN:13429043)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-84, 2012-03-31

課題研究1年目は『21世紀音楽カリキュラム』に基づいたこれまでの実践を振り返り、どのような実践が可能になったのか実践者からの感想も含めてその成果と課題を確認し、今後の研究の方向性を見出していくことがねらいである。全体を2部構成とし、第1部は実践発表、第2部を討論とした。第1部の実践発表では、『21世紀音楽カリキュラム』に基づいた日本伝統音楽の実践としてこれまでどのような実践が行われてきたのか、その指導内容に焦点をあて、「伸縮する拍を感じて自分たちのわらべうたをつくって歌おう」岩本紗八香氏(小学校)、「高い音と低い音を感じてわらべうたでふしづくりをしよう」井上薫氏(小学校)、「拍の特徴を感じ取って《ソーラン節》《小諸馬子唄》を味わおう」横山真理氏(中学校)、「カラ三味線で長唄をうたおう」高田奈津子氏(高等学校)の実践発表が行われた。第2部ではこれを受けて、実践についての成果と課題について、伝統音楽の理論的立場から澤田篤子氏、伝統音楽の指導方法等の立場から伊野義博氏、学校現場の実践を見る立場から松本絵美子氏がそれぞれ意見を述べ、その後会場からの意見も含めて全体で討論した。
著者
横山 真理
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.61-70, 2010 (Released:2018-10-01)

アリス・テグネールは、子ども期特有のものの見方、感じ方や生活や遊びの世界を反映した膨大な数の歌を創作し、「子どもの歌」の概念の形成に寄与した。テグネールによる子どもの歌が20世紀前半までの初等教育における音楽科の授業に与えた歴史的意義は、礼拝で扱う賛美歌が主な教材であった時代に、 宗教教育に従属した音楽の授業の目標から音楽的感受の形成という教育による人間形成を目指す目標への転換を促す実践的な力となり、新しい目標を実現し得る音楽的環境 (教材を構成する子どものための文化的素材) を学校内外で用意した点にある。本稿で分析した音楽教科書は、編纂過程、曲目の分類や配列、題材、民間伝承歌の集成、押韻詩による音楽的特質、構図や挿絵の効果等、幼児学校用音楽教科書として画期的な特徴を持ち、民衆学校制度発足以降の変遷をたどった音楽の授業における教材の歴史の到達点がそこに表れていると意義づけられる。