著者
清水 誠治 横溝 千尋 石田 哲士 森 敬弘 富岡 秀夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.3-14, 2014 (Released:2014-02-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1

潰瘍性大腸炎とCrohn病はいずれも原因不明の慢性疾患であるが,慣例的に狭義の炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)と呼ばれ,それぞれに診断基準が定められている.診断においては画像診断が重要な役割を担うが,IBDと画像所見が類似する様々な疾患を鑑別する必要がある.近年,IBDの治療が進歩するとともに,さらに正確な診断が求められている.特に,カンピロバクター腸炎,アメーバ性大腸炎,腸結核,エルシニア腸炎などの腸管感染症をIBDと誤診することは回避しなければならない.また,潰瘍性大腸炎とCrohn病の鑑別が問題となる症例の対応にも注意を要する.本稿ではIBDと鑑別を要する疾患との大腸内視鏡による鑑別診断について解説した.
著者
清水 誠治 富岡 秀夫 小木曽 聖 石田 英和 眞嵜 武 池田 京平 上島 浩一 横溝 千尋 高島 英隆
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.423-430, 2018-04-25

要旨●ヒト腸管スピロヘータ症(human intestinal spirochetosis;HIS)の自験例43例について臨床的検討を行った.41例は生検組織またはEMR標本のHE染色で偽刷子縁の所見により,2例は内視鏡検査時に吸引した腸液の直接塗抹で診断された.症状の有無別では無症状例が31例,有症状例が12例であった.生検は主にポリープやびらんから採取され,組織診断は低異型度管状腺腫13例,過形成性ポリープ8例,炎症性変化7例,過形成性結節4例であった.有症状12例中9例は他の疾患が判明し,3例はアメーバ性大腸炎を合併していた.他の原因疾患がみられなかった3例の内視鏡所見は,右側結腸を中心とした半月ひだの浮腫と発赤であった.その内2例では慢性下痢がみられており,腸液の直接塗抹でHISと診断され,遺伝子解析でBrachyspira pilosicoli(BP)が同定された.抗菌薬による治療は1例で行われたのみで,他の症例は無治療で症状が改善していた.HISについての文献的考察を行った.