著者
清水 誠治 富岡 秀夫 小木曽 聖 石田 英和 眞嵜 武 池田 京平 上島 浩一 横溝 千尋 高島 英隆
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.423-430, 2018-04-25

要旨●ヒト腸管スピロヘータ症(human intestinal spirochetosis;HIS)の自験例43例について臨床的検討を行った.41例は生検組織またはEMR標本のHE染色で偽刷子縁の所見により,2例は内視鏡検査時に吸引した腸液の直接塗抹で診断された.症状の有無別では無症状例が31例,有症状例が12例であった.生検は主にポリープやびらんから採取され,組織診断は低異型度管状腺腫13例,過形成性ポリープ8例,炎症性変化7例,過形成性結節4例であった.有症状12例中9例は他の疾患が判明し,3例はアメーバ性大腸炎を合併していた.他の原因疾患がみられなかった3例の内視鏡所見は,右側結腸を中心とした半月ひだの浮腫と発赤であった.その内2例では慢性下痢がみられており,腸液の直接塗抹でHISと診断され,遺伝子解析でBrachyspira pilosicoli(BP)が同定された.抗菌薬による治療は1例で行われたのみで,他の症例は無治療で症状が改善していた.HISについての文献的考察を行った.
著者
西川 剛史 冨樫 弘一 木田 直也 今枝 加奈子 高島 英隆
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.3433-3439, 2012 (Released:2012-10-31)
参考文献数
10

症例は60歳台,男性.多発性骨髄腫にて加療中.発熱,腹痛にて受診,腹部CTにてS状結腸憩室穿孔による腹腔内膿瘍と診断した.経皮的ドレナージが奏功するも腹痛は持続,人工肛門の適応と考えたが,全身状態から手術は困難であった.そこで,経皮的内視鏡的盲腸瘻造設術施行後,バルーン拡張を加え,瘻孔にシリコン性開創器を挿入し人工肛門の代替機能を有する盲腸瘻を作製した.一連の手技にて大きな合併症は認めず,一定の効果を得ることができた.