- 著者
-
腰原 裕之
宮尾 真由美
横田 佐和子
藍澤 喜久雄
秋月 章
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.5, pp.689-694, 2013-01-31 (Released:2013-05-10)
- 参考文献数
- 10
退院後の在宅患者の栄養管理の現状を明らかにし,今後の在宅での栄養管理について検討する目的で,訪問看護,リハビリテーション利用者53名に対し栄養に関する聞き取り調査を実施した。BMI18.5未満群 (やせ型群) は39.6%認められ,摂取エネルギー不足が想定されるため,必要栄養量の算出や栄養評価が必要と考えられた。栄養状態評価者は84.9%であったが、そのうち非経口群で体重測定者が有意に少なかった。体重未測定者は生命予後不良,入院治療の要因との報告もあり,患者の危険回避のため栄養アセスメントキットを用いた身体計測と必要栄養量の算出,栄養評価をする必要がある。一方,経口摂取患者44名のうち,むせがある患者は34.1%認められ,そのうち40.0%の患者に対しては特に対処を行なっていなかった。これは医療従事者がむせを問題と感じていないためと考えられる。また,むせがある患者はやせ型群で有意に多く,誤嚥リスクやむせ対処法の指導と同時にやせ型群には言語聴覚士の指導介入を考慮する必要がある。栄養補助食品使用者はやせ型群で有意に多かったが,そのうち84.6%はいわゆる健康食品を使用しており,栄養補助食品に関する正しい知識不足がうかがえ,適切な情報提供が必要と考えられた。今後,在宅患者の栄養管理において栄養士はもとより,言語聴覚士,歯科衛生士など多職種での指導介入が必要であり,多職種の連携に向け,病院主導のNSTが介入して行くことも必要と考えられた。