著者
丑山 奈津枝 丸山 やよい 松崎 吟子 宮崎 恭子 小林 聖子 永井 秀子 林 卓也 秋月 章
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.120, 2009

【はじめに】切迫早産妊婦の一般的な治療方法として安静があげられる.当病院では,切迫早産で入院した妊婦の清潔ケアは医師の指示のもと,安静が保てるようにストレッチャー上で臥床した体位でシャンプーを実施している.しかし,ストレッチャー上でのシャンプーの患者のとらえ方,また子宮収縮などの危険性の有無は明らかでない.本研究の目的は,ストレッチャーシャンプー時の子宮収縮の有無と,妊婦の状態を知ることである.<BR>【対象及び方法】 1.分娩監視装置を用いて,ストレッチャーシャンプー前・中の子宮収縮状態と胎児の心拍数の変化を見た.2.ストレッチャーシャンプー終了後,シャンプー方法に関して,5段階の間隔尺度を用いて切迫早産妊婦に聞き取り調査を行った.調査内容は,肩の張り感,背中の張り感,上腹部の張り感,下腹部の張り感,腰の痛み,臀部の痛み,足のつり感,爽快感,疲労感,緊張感,不安感,頭皮のかゆみ,頭皮のべたつきの13項目であり,またその他の要望(1週間のシャンプー希望回数,お湯の温度,シャンプー時間)の聞き取り調査をした.統計学的検討にはχ2検定を用い,危険率5%以下を有意とした.<BR>【結果】分娩監視装置による, ストレッチャーシャンプー前,シャンプー中の結果は子宮収縮状態・胎児心拍数異常はともに有意差はなかった.ストレッチャーシャンプー時の妊婦の症状に対する聞き取り調査結果は,妊娠週数と症状の出現に関連性は無く,症状を訴えた妊婦は,症状がなかった妊婦より平均年齢が高かった.<BR>【考察】 今回の研究で当病院でのストレッチャーシャンプーの方法は,安全性においておおむね問題はないと確認できた.妊婦の満足度も比較的高く,清潔面の援助を充実させることは切迫早産妊婦のストレス軽減につながる.今後も妊婦の状態や希望にあった看護をさらに提供する必要があると考える.
著者
腰原 裕之 宮尾 真由美 横田 佐和子 藍澤 喜久雄 秋月 章
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.689-694, 2013-01-31 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

退院後の在宅患者の栄養管理の現状を明らかにし,今後の在宅での栄養管理について検討する目的で,訪問看護,リハビリテーション利用者53名に対し栄養に関する聞き取り調査を実施した。BMI18.5未満群 (やせ型群) は39.6%認められ,摂取エネルギー不足が想定されるため,必要栄養量の算出や栄養評価が必要と考えられた。栄養状態評価者は84.9%であったが、そのうち非経口群で体重測定者が有意に少なかった。体重未測定者は生命予後不良,入院治療の要因との報告もあり,患者の危険回避のため栄養アセスメントキットを用いた身体計測と必要栄養量の算出,栄養評価をする必要がある。一方,経口摂取患者44名のうち,むせがある患者は34.1%認められ,そのうち40.0%の患者に対しては特に対処を行なっていなかった。これは医療従事者がむせを問題と感じていないためと考えられる。また,むせがある患者はやせ型群で有意に多く,誤嚥リスクやむせ対処法の指導と同時にやせ型群には言語聴覚士の指導介入を考慮する必要がある。栄養補助食品使用者はやせ型群で有意に多かったが,そのうち84.6%はいわゆる健康食品を使用しており,栄養補助食品に関する正しい知識不足がうかがえ,適切な情報提供が必要と考えられた。今後,在宅患者の栄養管理において栄養士はもとより,言語聴覚士,歯科衛生士など多職種での指導介入が必要であり,多職種の連携に向け,病院主導のNSTが介入して行くことも必要と考えられた。