著者
近宗 雅人 猪之鼻 修一 横関 俊昭 土屋 仁 藤田 和弘
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.248-256, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
18
被引用文献数
2

LC-MSおよびLC-MS/MSによるアクリルアミドの前駆体である遊離アスパラギン(Asn)の穀類中の分析法を開発した.試料中から5%(w/v)トリクロロ酢酸溶液でAsnを抽出し,0.1%(v/v)ギ酸溶液で適宜希釈した後,LC-MSまたはLC-MS/MSで測定した.分析カラムはPenta Fluoro Phenyl(PFP)カラムを用い,0.1%(v/v)ギ酸溶液とアセトニトリルのアイソクラティック溶出により行った.検量線は,0.005~0.1 μg/mLの範囲で良好な直線性を示した.片栗粉,うるち米粉,小麦全粒粉の3試料を用いて添加回収実験を行った結果,平均回収率は95.4~100.9%,併行精度(RSDr)は0.9~6.0%,室内精度(RSDwr)は2.8~7.1%の良好な結果が得られた.本法による定量限界は,片栗粉で7 mg/kg,うるち米粉で5 mg/kgであった.また,遊離アスパラギンを含有しているうるち玄米粉,コーンフラワー,小麦強力粉,小麦全粒粉,ライ麦粉の5種類を用いて10試験室による試験室間共同試験を実施したところ,HORRATr値は0.4~1.0とCodex委員会が定める性能基準の2以下であったことから,本法の有効性が示唆された.
著者
横関 俊昭 土屋 仁 藤田 和弘
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.187-191, 2018-08-25 (Released:2018-08-30)
参考文献数
14

穀類中に存在するアクリルアミドの前駆体である遊離アスパラギンをダンシル誘導体化後,HPLC-UVで測定する方法を評価するため,9試験室による試験室間共同試験を行った.試料には,遊離アスパラギンを含有しているうるち玄米粉,コーンフラワー,小麦強力粉,小麦全粒粉,ライ麦粉の5種類を用い,各試験室2回の併行測定とした.試験の結果,併行相対標準偏差および室間相対標準偏差はそれぞれ,0.5~2.2%および2.3~5.9%であり,HorRat値は0.4~0.6とCodex委員会が定める性能基準の2以下であったことから,本法の有効性が示唆された.
著者
横関 俊昭 西川 佳子 小木曽 基樹 藤田 和弘
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.247-252, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3

アクリルアミドの前駆体である遊離アスパラギン(Asn)の穀類中の分析法を開発した.試料中から5%(w/v)トリクロロ酢酸溶液でAsnを抽出し,ポリマー系逆相固相カートリッジを用いて精製した後,ダンシル誘導体化を行い,HPLC-UVで測定した.分析カラムはODSを用い,0.01mol/L酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリルのグラジエント溶出により行った.検量線は,0.5~100μg/mLの範囲で良好な直線性を示した.片栗粉,うるち米粉,小麦全粒粉の3試料を用いて添加回収実験を行った結果,平均回収率は97.7~102.6%,併行精度(RSDr)は0.8~2.0%,室内再現精度(RSDwr)は1.4~6.2%の良好な結果が得られた.本法による定量限界は,片栗粉で13mg/kg,うるち米粉で4mg/kgであった.片栗粉,うるち米粉,小麦全粒粉を含む15試料について,本法とアミノ酸自動分析計による定量値の比較を行ったところ,いずれの試料においても定量値は同等であった.