著者
重田 公子 笹田 陽子 樫村修生
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.41-45, 2008-06-15

若年女性とその母親を対象とし,母親の痩身志向が次世代の健康に与える影響について,意識調査と発育記録をもとに検討した。対象者の在胎週数は39.3週,出産までの母体重の増加量は10.0kg, 新生児の出生体重は3,108gであった。低出生体重児は5名(6.0%)出現したが,指標として示したKaup指数をはじめ若年女性のBMIおよび体脂肪率に母親の痩身志向の有無による差は認められなかった。胎児の在胎週数は37.8週を超える正規産であるが,低出生体重児の在胎週数は3,000グラム以上の出生体重児と比較して有意に短かいことが認められた。しかし,母体重増加量は他の群と比べ最も増加していた。低出生体重児が成長した現在のBMIは,BMI区分では正常であるが,体脂肪率は30%を超える「隠れ肥満」であり,他の群と比べて有意に高かった。若年女性のやせが著しく増加し,妊娠した時点で低栄養状態にある母親が増えている。健康の一次予防の観点から,母体の健康および体重管理の重要性が示唆された。