著者
橋本 俊郎 小島 均 佐竹 秀雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.822-825, 1991

らっきょう漬の製造法の改善のため,生ラッキョウの塩漬時の食塩濃度を低食塩区(3%,6%)と高食塩区(12%,20%)に分けて室温下に8週間貯蔵し,2週目ごとに調味加工して食味品質の比較を行った.<BR>食塩濃度12%以上の区では微生物の生育が強く抑制され,成分の変化が少なかった.しかし,低食塩区では微生物が旺盛に増殖して塩漬4週目で乳酸菌が10<SUP>7</SUP>/ml,酵母が10<SUP>6</SUP>/ml台に達し,漬液の濁度の増加,pHの低下,乳酸及びアルコールの生成をもたらした.低食塩区のうち3%区の塩漬らっきょうを原料とした製品品質は劣ったが,6%区の塩漬らっきょうの場合は良好であった.この時の脱塩時間は高食塩区の場合のほぼ1/10となり,脱塩に要する水量を著しく減少することができた.3%区の漬液中の乳酸量は塩漬4週目で0.4%に達したが,6%区では0.22%とおよそ半量に留まり,乳酸発酵が適度に抑制されたものと思われる.
著者
橋本 俊郎 木村 宏忠 高橋 清
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.255-259, 1985-04-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
11

大豆から熱水抽出して得られる豆乳に,清酒酵母,ワイン酵母およびパン酵母を作用させ,豆乳臭のない大豆蛋白カードを製造した。(1) 清酒酵母を接種し培養させることにより,2%グルコースを補糖した牛乳,脱脂乳は凝固しなかったが,同条件で,豆乳は凝固,カード化した。(2) 清酒酵母,ワイン酵母およびパン酵母によって,豆乳から得られたカードは,いずれも蛋白質の凝固率86~88%,粗脂肪の凝固率100%と,他の豆乳関連食品(豆腐など)に類似していたが,淡白な味と不快でない発酵臭を有していた。(3) 豆乳に接種した清酒酵母は,アルコールと共に酢酸,コハク酸,リンゴ酸を生成し,これらの有機酸が豆乳蛋白質の凝固に主要な役割を果していると推定した。