著者
松田 一朗 橋本 峻弥 須田 貴志 池田 悠 青森 久 伊東 晋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1486-1495, 2011-08-01

本論文では,JPEG方式で記録されている静止画像のデータサイズを削減するため,画質を保持したまま再符号化する手法を提案する.JPEG方式は離散コサイン変換(DCT)を用いた非可逆符号化アルゴリズムを採用しており,符号化に伴う画質劣化はDCT係数の量子化ひずみによって生じる.したがって,JPEG画像データより抽出された量子化済みDCT係数を再量子化せずに可逆符号化することで,再符号化の前後で再生画像を完全に一致させることが可能となる.提案方式では,ブロック間の相関を利用したイントラ予測を導入するとともに,適応的な確率モデルに基づいた算術符号を用いることで,量子化済みDCT係数の効率的な可逆符号化を実現している.シミュレーション実験の結果,提案方式によって既存のJPEG画像データの符号化レートを19~33%削減できることを確認した.