著者
清水 あずさ GOH Wei Huang 橋本 道尚 三浦 重徳 尾上 弘晃
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S104_1, 2019 (Released:2019-12-27)

血管の内壁に単層の組織を構成する血管内皮細胞は,血流によるせん断刺激や筋の拡張収縮による伸展刺激など複数の力学刺激を受容して,カルシウム応答などの細胞応答や形態変化を呈することが知られているが,その詳細なメカニズムはいまだ解明されていない.このメカニズム解明のために、これまで細胞外マトリクス(ECM)で構成されたマイクロ流体デバイスに内皮細胞を播種することで血管の生体内環境を模したin vitro実験系が報告されてきた.しかしながら,従来の実験系では流体せん断刺激に対する細胞応答は報告されてきたが,伸展刺激を加味した細胞応答は明らかになっていない.そこで本研究では,複数の力学刺激を再現することにより,生体内環境をより模倣したin vitro血管モデルの構築を目的とする.具体的には,コラーゲンを用いたマイクロ流体デバイスにより,流れによるせん断刺激と伸展刺激の両方を印加可能な3次元培養系を提案する.本研究では,3Dプリンタで作製した水溶性モールドを犠牲層として用いてコラーゲンで構成されたマイクロ流路を構築した.また,外部より伸展刺激を負荷することで,コラーゲン流路内に培養した細胞が伸展している様子を確認した.