著者
橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究の実績として、下記の1.~5.に掲げる成果が得られ世界の学科に発表および予定である。1.先に開発した改良型換算波エネルギー法を1950年以降最も勢力の強い台風9918号による被害規模の予測に適用し、沿岸被害の予測法として有意義であることをInternational Journalにて発表した。2.先に開発した改良型マグニチュード法を用いて台風9918号による被害の程度を予測し、1.と同様予測法の有効性について水情報学に関するニュヨークで開催された国際会議にて発表した。3.先に開発した改良型マグニチュード法を用いて、台風9918号の経路の変化およびその位置において台風来襲地点の被害の予測を行い、その予測が避難警報においての有意性について論じ、有効性を明らかにした。4.地球の温暖化により台風の規模が巨大化することが一般的に議論されている。この研究においても、温暖化を前提として「台風の巨大化に対応できる災害予測法の開発」を研究テーマとして進めて来た。しかしながら、巨大化に対応できる予測法の開発とともに温暖化に伴って台風が巨大化しているのかを明らかにすることと共に、予測法の開発を進める必要がある。そこで、地球気候変動に基づいて台風の中心気圧を用いた沿岸域の脆弱性についての研究成果をAGU Fall Meetingにおいて発表した。5.さらに、ボストンで開催予定されているASCEの国際会議において、地球温暖化による台風気象変化に伴う沿岸への影響についての成果について発表予定である。なお、新しい予測法を開発中である。
著者
橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

当研究は、開放性海域および閉鎖性海域に面する沿岸構造物(施設)を対象とした波浪および高潮による被害規模の予測法の開発と各沿岸の耐台風力の評価を行うシステムを確立し、防災事業・業務上における海岸管理、沿岸構造物(施設)の設計、および沿岸住民の安全確保を行うことを目的としている。現在まで、4つの予測法の開発を行った。すなわち、1.台風の中心付近の最大風速を用いた最大風速による予測法、2.台風の中心付近の最大風速と強風域の大きさを組み合わせたマグニチュードを用いた、台風のマグニチュードによる予測法、3.波高の影響だけでなく周期の影響を考慮できる換算波エネルギーを定義し、この換算波エネルギーを用いた換算波エネルギーによる予測法、さらに4.高潮の影響を考慮した被害予測法の開発においては、台風の中心気圧の影響は重要なパラメータであるので、台風の中心気圧を用いた中心気圧による予測法を開発した。つぎに、開発した4つの予測法を用いて、甚大な被害をもたらした1998年の台風9918号によって発生した被害を対象として、予測法の適用性の検討を行った。この結果、台風が来襲する以前に来襲したときの各沿岸で発生する被害規模を、これらの4つ予測法によってある程度の精度で予測できることを明らかにした。これらの予測法の開発により、台風のコース毎の各沿岸の危険度、台風の沿岸への影響度、沿岸構造物の耐台風力を示すことができた。この結果、台風が来襲してくるときの各沿岸の被害規模の予測も可能になり、沿岸住民の早期避難と生命・財産に対する安全対策にも役立てることができる。
著者
武上 成比古 橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学工学部研究報告 (ISSN:13467867)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.101-110, 2005-03

日本の河川流域は山林に覆われているから、降雨はすべて地下浸透し、これが浅層地下水帯を形成し、河川流況を維持している。この考え方は、降雨と流出の時間遅れ、低水時の流況維持、大雨後の豪雨による土石流発生等の、日本の河川の流況特性によく照合している。この山地浅層地下水帯の水源涵養の水理は、平地における浅井戸揚水の水理と同じであるが、ただ急勾配斜面のため、上流側が地下水面に、下流側が河川への流出となる地下水帯全体の流動といえる。流出モデルの場として考えた場合、雨水は、まず地下水面を形成し、地下水流動の領域を作り、下端の湧水放流となる。この境界条件に囲まれた領域では、流れの関数は地層の浸透係数にそのポテンシャル勾配を乗じたポテンシャル流となる。運動式は層流としての一次関数であり、連続の式と連立して解けば領域の流速分布の解が得られる。有限要素法においては、要素別の重心点の流動ベクトルとして解を求めている。この報告ではその計算手法を発展させ、まず要素別のポテンシャル値分布から等ポテンシャル線を分級別に検索し、次に、その上、下流一組のポテンシャル線間での浸透流量計算から、ポテンシャル線群それぞれの等流量点を検索し、結果として、領域での地下水流動の連続条件を満たす、流線網図を描く手法を開発した。