著者
橘 庸子
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.37, pp.71-85, 1997-03-31

各種甘味料(オリゴ糖・低カロリー甘味料A・低カロリー甘味料B・低カロリー甘味料C・低カロリー甘味料D・低カロリー甘味料E・低カロリー甘味料F)を砂糖の代りに利用した時,これらの甘味料は砂糖と同様の調理効果を示すかを,卵白の起泡性に対する影響を取り上げ考察した。特に焼菓子であるスポンジケーキにおける調理効果について砂糖との比較において検討したところ次の様な結果が得られた。1.各種甘味料は砂糖と同様,卵白の起泡に安定性を与えた。更にオリゴ糖・低カロリー甘味料A・低カロリー甘味料B・低カロリー甘味料C・低カロリー甘味料D・低カロリー甘味料E・低カロリー甘味料Fは砂糖より卵白の起泡性を高める効果がみられた。2.低カロリー甘味料Fは共立て法の場合は起泡性を著しく低下させた。脂肪による消泡作用を受けやすい様に思われる。3.共立法によりスポンジケーキを作製した時オリゴ糖を用いたスポンジケーキは砂糖のものより表面の焼色もつきやすく,仕上り形態も良くない,内部の状態も味に於いても好まれなかった。4.低カロリー甘味料A・Cを用いたスポンジケーキは砂糖のものより表面の焼き色がうすく中央が山のように盛り上り,低カロリー甘味料A・Eと同様の外観である,内部の状態,味も同様に悪く全体的に好まれなかった。5.低カロリー甘味料Bを用いたスポンジケーキは唯一砂糖に次いで仕上り形態もよく,表面の焼色は砂糖に比べ,ややうすいが内部の状態はあまり良い評価ではない,甘味は砂糖に近いことから好まれた。6.低カロリー甘味料C・D・Eを用いたスポンジケーキは加熱による甘味の減少で非常に悪い評価を得ている。7.低カロリー甘味料Fを用いたスポンジケーキは他と同様の方法で作製した場合,外観,食感共に良い結果が得られなかった。甘味料を小麦粉に混ぜる方法で作製した場合は他の低カロリー甘味料と同様の外観を得ることが出来たが,いずれにしても良い結果はえられなかった。8.低カロリー甘味料を用いた焼き菓子であるスポンジケーキは製品としても品質が悪く又官能的にも好まれなかったことは砂糖として使用出来ない結果であった。しかし今回はこの方法でそうであったが,作り方,配合等が製品の性状を右左すると考えられたことから今後の検討課題にしたいと考える。9.低カロリー甘味料を用いたスポンジケーキは,砂糖と同程度の甘味になるように各甘味料を使用する場合は,保存性の低いことが観察された。
著者
橘 庸子 大津 由美子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.71-79, 1991-03-31

小麦粉2種類およびでんぷんを主成分とする粉5種類を用いて,シュー形成の状態および食味について検討した。7種の粉の中,最もすぐれたシューを形成した粉は,薄力粉であったが,地下でんぷんのかたくり粉,くず粉の場合も,シューとして遜色のないものが調製出来ることがわかった。地上でんぷんのコンスターチ,上新粉および白玉粉は,形,大きさ,膨化状態が劣っていたが,上新粉の食味は,薄力粉に匹敵するものであった。本稿を終るにあたり,御指導いたゞきました本学調理学研究室の伊東先生初め諸先生方にも深謝致します。