- 著者
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酒井 大輔
檜山 明彦
平山 令明
升井 伸治
- 出版者
- 東海大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本研究計画の目的は、椎間板髄核細胞の分化、生存を制御する転写因子ネットワークについてiPS技術を用いて解析し、未だ詳細には解明されていない、iPS細胞や間葉系幹細胞などからの椎間板髄核前駆細胞の誘導法を確立することである。その後、明らかとなったコア転写因子を用いて、髄核細胞の機能向上、コア転写因子を標的とした新規治療法の開発など椎間板再生医療研究に広く応用することである。実験1椎間板髄核細胞のiPS化:コア転写因子を同定するiPS干渉法を行うために、椎間板髄核細胞のiPS化を行った。京都大学iPS研究所のiPS化プロトコールに従いiPS細胞評価は細胞形態変化とアルカリフォスファターゼ染色にて行った。その結果、椎間板髄核細胞のiPS化が認められたが、酸素分圧の調整など検討材料が得られた。実験2椎間板髄核細胞iPS化の高効率化、遺伝子導入効率の向上:椎間板髄核細胞はiPS化したものの導出効率が低く、iPS干渉法で阻害度を測定するには不十分であったため、iPS化の高効率化を行った。GFPにて遺伝子導入効率が良い酸素分圧、培養条件を検討した。その結果、低酸素+α-MEM培地の条件にて高いGFP発現率(80%)を認め、常酸素+D-MEM培地の条件では発現率は低かった(46.2%)。そこで酸素分圧と、細胞密度を振ってiPS化工程を行った結果、全工程を低酸素条件でした群ではiPS化は起こらなかった。遺伝子導入時は低酸素条件で行い、その後は常酸素条件に戻した群で多数のiPSコロニーを認めた。これは一般的に線維芽細胞のiPS化では低酸素にてiPSコロニー数は増加することが知られているが、低酸素、HIF1A、HIF2Aは髄核細胞の特性としても非常に重要であることが知られているため、低酸素条件が髄核細胞形質を維持させたことが考えられ、新たな知見を見出した。現在、転写因子の絞り込みを行なっている。