著者
落合 昇 櫛引 理 松嶋 智子 寺町 康昌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.957-968, 2003-09-01
被引用文献数
39

光CDMAシステムの一つとして,EWO信号方式が提案されている.この方式は,1組のユーザに互いに直交する等重みの二つの符号語を割り当て,伝送情報に応じて一方を選択して拡散符号化に用いる方式である.基本的な光CDMA方式であるOOK信号方式と異なり,復号時のしきい値を動的に推定する必要がない点で優れている.EWO信号方式はOOCやPSCをシグネチャ符号とする非同期システムにおいて評価されており,その誤り率特性は適用する符号などによって多少異なるが,OOK信号方式に比べて大きな改善はなく,条件によっては劣ることが報告されている.本論文では,EWO信号方式を同期システムに適用した場合の誤り率特性を評価する.シグネチャ符号としてはMPSCを用い,他チャネル干渉以外の雑音要因を無視できる理想的なリンクを仮定し,解析的な評価及び計算機シミュレーションを行った.その結果,EWO信号方式はOOK信号方式に比べて非常に優れた誤り率特性をもつことが示された.特に,符号語の各ユーザヘの割当てを工夫することにより,EWO信号方式は多重者数にかかわらず誤り率が常に0となるという結果が得られた.