著者
櫻井 和彦 臼杵(小野) 昌子 古沢 仁 加納 学 東 豊土 澤村 寛
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.S153-S165, 2007

北海道の各地にある博物館や資料館の中には,地質や化石から地域の生い立ちを紹介する館園も数多くある.今回はその中から,北海道を横断する行程上にある五館を見学する.<br>三笠市立博物館(Stop2)・むかわ町立穂別博物館(Stop5)では,白亜紀に海だった北海道中央部を泳いでいたアンモナイトや,長頸竜・モササウルスなどの海生爬虫類化石を観察する.足寄動物化石博物館(Stop4)・札幌市博物館活動センター(Stop1)では,新生代に海だった北海道で進化を遂げたクジラやデスモスチルス,カイギュウなどの海生哺乳類化石について観察する.日高山脈館(Stop3)では,北海道の背骨とも呼ばれる日高山脈に産するさまざまな岩石を通じ,島弧的地殻の形成過程などについて考える.<br>このほか,日本の近代産業を長い間支えてきた石炭産業に関わる展示や,日高山脈など各地の自然環境に関する展示にもふれる.また移動途中には車窓より北海道の自然景観を実際に観察できるであろう.<br>各地域の生い立ちを地質・化石から紹介する博物館を,各館の学芸員による案内で見学しながら,北海道の生い立ちを思い浮かべてほしい.