著者
神野 卓也 中原 大揮 西川 繁 櫻井 淳子 西口 和美 奥田 成幸 和田 直也 西野 立樹 辻野 麻里 三ッ石 一智 千﨑 大樹 鶴﨑 清之 岸本 武利
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.571-581, 2021 (Released:2021-11-28)
参考文献数
27

血液透析患者20例に対し透析中の運動療法を6か月間施行した.身体運動機能,栄養評価を介入前,3,6か月後に行い,統計解析はHolmの多重比較検定を用いた.Quality of life(QOL)は介入前後に評価し,Wilcoxon符号付順位和検定を用い比較した.いずれもp<0.05を有意差ありと判定した.身体運動機能は介入3か月後に握力(非シャント肢),膝伸展筋力,足趾把持力,外転筋力,30秒立ち上がり試験,6分間歩行が向上し6か月後も維持または向上した.血中ヘモグロビン濃度を含む栄養評価項目に有意な変化は示さなかった.QOL評価は身体機能,心の健康,全体的健康観,活力が有意に上がった.身体機能の向上が日常的な疲労感を緩和させ,活動意欲が生まれたことで日常活動量が増加したと推察される.透析中の運動療法は身体機能の向上とともに精神心理的QOLを高めることが示唆された.
著者
村井(羽田野) 麻理 櫻井 淳子 桑形 恒男
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.43-54, 2009-03-30 (Released:2016-10-08)
参考文献数
60
被引用文献数
2

植物は、土壌中から多量の水分を根の表面で吸収し、維管束を経由してその一部を成長や各種成分の輸送に利用しつつ、大部分を葉の気孔から蒸散させている。地下部から地上部へ向かう水の流れは大気からの蒸散要求によって駆動されているが、流れの速さは気孔開度または植物体内の水透過性によって大きく変化する。アクアポリンの発見を契機に、植物体内の水透過性が地上部または地下部の条件に応じてダイナミックに変化することが再認識されており、特に根の水透過性の変化とアクアポリンとの関係については、多くの知見が集積しつつある。そこで本稿では、(1)根の水透過性を変動させる様々な要因、(2)根の水透過性の変化が地上部に及ぼす影響、(3)根内部の水経路、(4)細胞レベルでの水透過、(5)アクアポリン、(6)根での水吸収に必要なコストなどについて、地上部と地下部の結びつきを意識しながらこれまでに得られている知見を紹介したい。