著者
下平 秀夫 野崎 真由 權 娟大 上村 直樹 海保 房夫
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.16-22, 2014-05-30 (Released:2014-06-09)
参考文献数
9
被引用文献数
5

Objective: Recently, since usage of the kampo-medicines has changed from conventional usage, it is possible that the tendency of adverse reaction also changes.  Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA) discloses information reported by Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information Reporting System.  In this study, we analyzed adverse drug events of kampo-medicines using Japanese Adverse Drug Event Report (JADER) database of PMDA.  We also investigated what adverse drug events are likely to be occurred by kampo-medicines and what kampo-medicine is likely to cause a particular adverse drug event.Methods: We focused on reports referring to suspected drugs for kampo-medicines from JADER database of PMDA for about nine years from April 2004 to February 2013.  We analyzed kampo-medicines, organs, and adverse drug events based on the number of reports.Results and Conclusion: We found 1,958 reports on adverse drug events for kampo-medicines.  The largest number of reports for kampo-medicines was on Shakuyakukanzoto, followed in order by Bofutsushosan, Saireito and Yokukansan.  The breakdown of each organ of adverse drug events reported was 34% for hepatobiliary system disorders, followed in order by 26% for respiratory, thoracic and mediastinal disorders, and 9% for metabolism and nutrition disorders.  A total of the above adverse drug events accounts for 70% of all adverse drug events.  The largest number of adverse drug events reported was 406 cases for interstitial lung disease, followed in order by 294 cases for liver disorder, 260 cases for hepatic dysfunction, 165 cases for hypokalemia, and 102 cases for pseudoaldosteronism.  There are many reports about pseudoaldosteronism of Yokukansan regardless of containing only 1.5 g ricorice per day.  As for cardiac disorders of Yokukansan, we need to pay attention to information in the future.
著者
湯浅 友子 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2012-BIO-32, no.22, pp.1-6, 2012-11-29

近年,酸化ストレスが生体に様々な影響を及ぼすことで,疾患の原因となっていることが分かってきた.しかし,酸化ストレス起因疾患に関連する遺伝子などの情報を提供するようなデータベースは存在しない.そのようなデータベースが構築され,その疾患だけに特有的な遺伝子が見つかれば,その遺伝子を標的とした副作用の少ない新薬開発につながる可能性がある.そこで本研究では,酸化ストレス起因疾患の新薬開発支援の観点から,疾患特有的遺伝子を順位付けして提供するデータベース検索システムを構築した.本システムで提供される酸化ストレス起因疾患関連遺伝子群は,与えられた疾患に対して特有的に関連する遺伝子群を生物医学文献から抽出し,それらの特有性に応じて順位付けするアルゴリズムにより得られたものである.酸化ストレス起因疾患名は,人手により 「酸化ストレス,活性酵素,ラジカル」 などのキーワード 20 個程を選択し,これらのキーワードを用いて文献・書籍を検索することによって網羅的な選出を試みた.
著者
重元 康昌 桑名 良和 權 娟大 菅原 秀明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.86-91, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)
被引用文献数
2 1

生物の研究現場ではさまざまな解析プログラムやデータベース、文献などの情報があり、それらを組み合わせて使うことが多い。そこで、国立遺伝学研究所では120 以上の機能についてWeb API を開発し公開した。これによって、利用者は国立遺伝学研究所の大規模システムが手元にあるかのようにさまざまなサービスを自由に組み合わせて利用することができるようになるとともに、組み合わせのノウハウをワークフローとして共有することも可能になった。本稿ではこの生物分野におけるWeb API の適用事例を紹介する。
著者
川島 悠一 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.3, pp.1-5, 2013-06-20

ハイスループットスクリーニングやコンビナトリアルケミストリーの導入により急速にリード化合物が見出されている.また,薬理活性の最適化を行うドラッグデザインにより効率的な創薬が行われるようになった.しかし,薬理活性のみを指標にしたハイスループット評価などでは吸収や代謝など薬物動態学的特性や安全性に問題を抱える化合物が数多く選択されてしまう.薬物動態 (ADME) や毒性の評価が in silico で可能となれば創薬の効率化につながる.そこで本研究は,医薬品の立体構造と薬物動態に基づく ADME 予測モデルを構築した.医薬品の立体構造から得られる構造特徴パラメータ (記述子) を説明変数,重要な薬物動態パラメータである血中半減期を目的変数とし,予測モデルの構築を試みた.
著者
林 知里 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.2, pp.1-6, 2013-06-20

ゲノム解析が進んだ結果,ゲノム DNA 中にはタンパク質の遺伝子以外の分子情報をコードしている領域や発現の制御に関わる領域が存在することが明らかになった.これらの領域の中で,主な機能として発現制御等に関わる RNA 分子の遺伝子をコードしている領域があり,この領域から転写された RNA は non-coding RNA(ncRNA) と呼ばれている.ncRNA は他の遺伝子の転写制御に関わりを持つと考えられているが,未だその機能が解明されていないものも多い.一方で,ある疾患に特異的に発現する ncRNA が発見されており,ncRNA が創薬ターゲットになる可能性を持っている.また,現在発見されている ncRNA の多くはタンパク質遺伝子間に存在するが,あるタンパク質遺伝子のイントロンに ncRNA が存在することが分かっている.本研究では,タンパク質遺伝子と ncRNA のゲノム上の位置関係に着目し,疾患関連遺伝子を制御する創薬ターゲットとしての ncRNA を予測することを目的とする.本稿では,イントロンに存在する ncRNA に着目した生物種間での比較結果を報告する.