著者
佐藤 翔 井手 蘭子 太田 早紀 林 直樹 道浦 香奈 副田 沙織
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-200, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
8

本研究では同志社大学の学生102名を対象に2015年に実施した質問紙調査の結果に基づき,日本の大学生のWikipediaに対する信憑性認知や,学習におけるWikipediaの利用実態を明らかにするとともに,どのような要因が信憑性認知や学習における利用に影響を与えるかを検証する.分析の結果,回答者はWikipediaをどちらかと言えば信憑性のあるものと考えており,レポート作成等にも用いているが,参考文献には挙げない傾向があること等がわかった.
著者
佐藤 翔 吉田 光男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-42, 2017-03-10 (Released:2017-05-12)
参考文献数
21

本研究では2006~2015年に日本の学協会誌に掲載された論文1,080,840本を対象に,日英の主要なオルトメトリクス計測サービスから得たデータに基づき,オルトメトリクスの付与状況を分析した結果について報告する.日本の学協会誌掲載論文のうち,ソーシャルメディアからの言及があるものは約1~2%とごくわずかであった.分野,言語,出版年とオルトメトリクスの関係については用いるデータ源により異なる傾向があるが,人文社会系の論文でソーシャルメディアからの言及が多いことは共通している.また,同一の論文を対象とした場合でも,データ源によって収集されているソーシャルメディア上の言及の範囲は異なっていた.
著者
林 賢紀 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.238-252, 2012-11
被引用文献数
0 or 1

文献データベースと電子ジャーナルをリンクするシステムとして,リンクリゾルバが利用されている.本論文では,文献データベース,電子ジャーナル,リンクリゾルバそれぞれのアクセスログを解析することにより,リンクリゾルバの影響の分析を試みた.この結果,データベースの検索結果からリンクリゾルバを経由して幅広い分野の雑誌タイトルに利用者を誘導できる効果が確認できた.このとき,リンクリゾルバは,PNASやScience,Natureなどの総合科学雑誌と比較して分野に特化した雑誌へ多くの利用者を誘導している.特に,Web of Scienceのような収録範囲の広いデータベースの利用においてこの効果は顕著であり, リンクリゾルバの導入は特定分野の雑誌論文の可視性を高め,利用に結びつける効果があることを明らかにした.The link resolvers provide links between articles published in electronic journals and bibliographic databases. We report on analysis of the log files of a link resolver, bibliographic databases and electronic journals. We have found that the link resolver can lead users from bibliographic databases to electronic journals in a wide range of research fields. In addition, we found that the resolver would lead users more often to journals of specialized subjects than to those of wide subject coverarge like PNAS, Science and Nature. This effect is remarkable in use of generic database like Web of Science. The former are usually accessed to e-journals websites whereas the latter are more frequently accessed more than before as a result of references from the link resolver.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-12

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.To evaluate how the deposition of journal articles in Institutional Repositories (IRs) affects the number of citations and e-journal usage, we placed some articles published in Zoological Science in two Japanese IRs and collected their usage data in IRs and e-journals, as well as with the number of resulting citations. The experiment was started in 2008 and we compared the number of e-journal usage and citations of articles deposited in IRs before and after the experiment with those were not. In addition, we analyzed users' behaviour in IRs and compared user groups in IRs with those in e-journals based on users' IP addresses. The results revealed that deposition in IRs did not reduce e-journal usage. Moreover, whereas the journals gained new readers, this did not have an effect on the number of citations because most of new readers may be not researchers in Zoology but those in other fields or lay people.
著者
小池 利明 林 純一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.441-451, 2011-10-29 (Released:2012-02-18)

「電子書籍元年」は2010年と言われるが、日本の電子書籍にはもっと長い歴史がある。ボイジャーは日本の出版社の協力を得ながら、2000年にはリフロー型の電子書籍向け日本語の文字組をほぼ完成している。一方、2008年のiPhone登場以降、電子的な「読書」に世間の関心が集まるようになった。そして多様なOS、ハード、電子書店が登場した。ここでは規格の統一はなされず、読者はその中で読書を強いられている。ボイジャーは未来の著者と出版社と読者のために、Webブラウザでの新たな読書スタイル=Books in Browsersに帰結する。Books in BrowsersはOSにもハードにも左右されない。日本の電子書籍で必要とされる文字組をWebブラウザで実現し、購入から閲覧、ソーシャルリーディングまで、Webブラウザだけでシームレスに完結するものである。
著者
佐藤 知恵 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.132-137, 2009-05-16
被引用文献数
2 or 0

本研究では,特定の作家の小説を特徴づける語彙とそれが所属する概念カテゴリーの特徴を調べるため,星新一ショートショート作品の特徴的概念と,その構造を計量的に抽出した.データとしては,ショートショートの第一人者である星新一氏の初期(1968年〜1973年)における全720作品を電子化したテキストを対象とし,出現頻度の高い語彙の共起ネットワーク化を行うことで,星作品における概念構造を可視化した.また,各作品に特徴的な語彙を抽出し,そのカテゴリー分類を行うことで,ショートショートの特徴を計量的に抽出した.
著者
岡本 一志 丸茂 里江 佐野 悠
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
(Released:2017-06-30)
参考文献数
13

RFID システムを用いた資料の図書館内利用調査を2 年間実施し,資料が書架から持ち出された回数およびその利用時間に関するデータ分析法を提案する.分析結果より,館外貸出に比べ3 倍程度の持ち出しが起きていること,利用時間のピークは2~4 分であり立ち読み的利用が中心であること,持ち出し回数と利用時間のピークは一致せず時期によって資料の利用形態が異なること,大半の資料が持ち出された回数はごく数回にとどまっていること,といった従来の貸出統計などには現れなかった利用傾向が確認された.得られたデータや分析結果を踏まえ,RFID システムを用いた資料利用調査の実施における検討事項についても議論する.
著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.129-134, 2010-05-15
被引用文献数
1 or 0

本研究では,音楽評論家によって語られる作曲家の概念的特徴とそれらの関係を明らかにするために,作曲家に対する感性的表現を計量的に分析した.データは音楽評論雑誌『ポリフォーン‐音楽評論の開かれた場』のテキスト全13冊を対象とし,最も多く語られる7名の作曲家(出現回数が多い順に,モーツァルト,ベートーヴェン,ワーグナー,マーラー,J.S.バッハ,ドビュッシー,シェーンベルク)を形容する感性的表現,語彙レベルで用いられる頻出感性語とその用法の特徴を解析することで,作曲家概念の感性的要素を精緻に特徴づけた.
著者
林 正治 林 洋平 田邉 浩介 青山 俊弘 池田 大輔 行木 孝夫 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.366-369, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
19

近年、高等教育機関・研究機関における機関リポジトリの普及に伴い、機関リポジトリが持つ可能性とその活用に向けた議論が盛んである。その議論の中心にある、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)の次世代リポジトリWG では、世界中に分散した機関リポジトリを地球規模の学術コミュニケーション・ネットワークとして位置付け、新たな付加価値サービスの展開を想定したユースケース及び技術の検討を行っている。我々の研究グループでは、こうした状況を鑑み、主要なオープンソースリポジトリソフトウェアの技術比較を行ってきた。本発表では、技術比較結果の考察および技術史的な視点から、次世代リポジトリソフトウェアに求められる技術的な機能像を明らかにする。
著者
孫 昊 金 明哲
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.3-14, 2018-02-27 (Released:2018-04-13)
参考文献数
35

川端康成の少女小説における代筆問題は昔から指摘されており,中でも『花日記』は中里恒子の代筆という疑いが強い.本研究では計量文体学の方法を用いて,この小説の代筆問題に新たな解決策を提示する.本研究では,文章から抽出した文字・記号のbigram,形態素タグのbigram,文節パターンを特徴量とし,アダブースト(AdaBoost),高次元判別分析(HDDA),ロジスティックモデルツリー (LMT),サポートべクターマシン(SVM)とランダムフォレスト(RF)を用いて判別分析を行った.分析の結果,『花日記』は川端康成と中里恒子の共同執筆という結論に至った.
著者
村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.117-122, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)

本研究では、テキストを解釈し批評する行為を科学的にとらえるためのケーススタディとして、著名な文芸批評家個人の批評テキストを網羅的に収集し、計量的な分析を行った。テキスト中の評価的語彙の共起情報の分析からは、「新しさ」「美しさ」「深さ」などが重要であることが分かった。また、テキスト中の人名から、批評家が影響を強く受けている作家・思想家を分析し、テキストの評価軸となる思想的な背景を抽出することができた。
著者
北原 糸子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.316-327, 2012-11-04

本論は災害史研究において、歴史資料の果たす役割を具体的に示すために、江戸・東京という日本の首都で発生した地震災害のうち、1703 年元禄地震、1855 年安政江戸地震、1923 年関東大震災を対象として、歴史資料を通して、時代の変遷のなかで災害像はどのように変化するのか、あるいは災害の歴史を通じて共通に認められる社会事象とはなにか、すなわち、災害の社会像について考察した。その結果、進歩や開発という理念を持たない近世社会は大災害に遭遇しても都市の基本構造を変えることはなかったが、近代の関東大震災のような都市を焼き尽くす大災害では、災害を好機と捉え、都市計画による都市の再生・復興が行われた。また、本論では特にいまだ元禄地震における江戸市中の被害が明らかになっていない理由が前後の火災の広範な延焼範囲によって地震被害の実相がマスクされた可能性が高いことを指摘した。
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.135-140, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)
被引用文献数
1 or 0

近年,文学や音楽,美術,映画,漫画等のさまざまな芸術を研究するにあたって,微細なデータを扱い,一貫性を有した科学的分析手法に基づいたフィクションの研究に注目が集まっている.本研究では,文学テクストの表層に見られる語彙を作家の文体的特性が宿る最小の構成要素とみなし,作風の変遷を計量的に明らかにすることを目的としている.対象としたデータは,現代の日本文学を代表する小説家村上春樹の長篇とし,そのテクスト中から抽出した語彙を品詞と意味カテゴリーに分類したのち,それぞれクラスター分析を用いて近似的な作風を持つ作品群を明示化した.その結果,品詞分類からは「初期三部作」をはじめとした通時的な区分によってのクラスターが,また意味分類からは「初期三部作」の続篇とも呼ばれる一作品を含んだ「鼠四部作」のクラスターが形成された.
著者
田辺 浩介 高久 雅生 江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.219-228, 2013-07

本研究では,FRBR のWork・Expression のエンティティを,既存の運営母体によって作成・管理された書誌・所蔵データと連動して扱える,疎結合構成の実装モデルを提案する.この提案手法は,Work・Exprsesion の記述のためのシステムを,Web 上で提供されている既存の目録システムと独立して運用することを可能にしている.本研究では既存の目録システムとしてCiNii Books を用いたシステムを試作し,その実現可能性を示した.We propose a loosely coupled implementation model that allows cataloging systems to record FRBR Work and Expression entities connecting bibliographic records maintained by existing libraries. The proposed model enables a cataloging system that records Work and Expression entities to operate in-dependently from existing cataloging systems. We have developed a prototype system that uses CiNii Books as an existing cataloging system and showed its feasibility.
著者
岡部 晋典 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.333-349, 2011-09-27 (Released:2011-12-13)
参考文献数
43
被引用文献数
1 or 0

本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった.
著者
佐藤 翔 吉田 光男 安蒜 孝政 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.157-162, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

本研究では情報探索行動の起点としてのWikipediaの有効性について検討することを目的に,日本語版Wikipediaの外部リンク約119万件について,URLの詳細やアクセス障害・リンク切れの状況について調査した.結果から,1)日本語版Wikipediaからのリンクの11%程度でアクセスに障害がある,2) edu,co.jp,go.jpドメインの外部リンクでアクセス障害が多い,3) 新聞社が運営するニュースサイトで特にアクセス障害が多いこと等を明らかにした.
著者
佐藤 知恵 村井 源 徃住 彰文
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.123-128, 2010-05-15
被引用文献数
1 or 3

日本の小説家である星新一は,日本のショートショートの第一人者であり,執筆期間の前半(1968~1973)だけで718編の作品を残している.星作品はしばしば物語の骨組みの共通性が指摘されるが,本論文は,そのような物語のパターン性がどのような点から確認できるのかを,11 の物語構造ユニットを用いて表現,分析することにより説明するものである.これらのユニットは先行研究をもとに,星作品に頻出する物語の出来事の要素として設定した.ユニットとその組み合わせを記号で表現したデータを用いて,パターンの分布,因子分析,N-gram による分析を施すことで,星作品の最も基本的な物語構造を抽出した.
著者
村井 源 松本 斉子 佐藤 知恵 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.6-17, 2011-02-23 (Released:2011-04-13)
参考文献数
16
被引用文献数
2 or 0

本論文では,計量的な物語構造の分析を実現するために,人文的な物語分析の古典的手法であるプロット分析を援用し,分析結果に対する計量的解析を行った.プロット分析は人文学的手法であるが,一致度の計算を実施することでプロット分割と分類の正当性の数値的評価を行った.プロット分類の結果に対してn-gram分析を行うことで物語構造の連続的パターンを抽出した.また同様にχ二乗検定を用いて頻出プロットの時代的変化を抽出した.さらに,テーマとプロットの関係を分析するために計量的手法で物語のテーマ語を抽出し,作品をテーマごとに分類した.このテーマの分類結果を用いて,各テーマのプロット的な特徴を抽出した.本論文での分析はプロットへの分割と分類を計量的指標を用いつつも人手で行うという点で,完全な自動化の実現ではないが,本論文の成果は将来的な物語分析の完全な自動化の基礎になると期待される.
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.18-36, 2011-02-23 (Released:2011-04-13)
参考文献数
12
被引用文献数
2 or 2

本論文の目的は,作家の作風変化を科学的に検証することである.対象としたデータは,現代の日本を代表する作家,村上春樹の長篇12作品とした.12長篇の中で近似的作風を持つ作品群を明示化するため,テクストから得られた語彙を計量化して品詞と意味カテゴリの両分類から特徴ベクトルを抽出し,それぞれの特徴ベクトルからクラスタ分析を行った.その結果,品詞分類からは通時的な区分によってのクラスタが形成され,村上の文体が時代とともに変化しているのが確認できた.また,意味分類からは主題や内容に影響されたクラスタが形成され,村上の関心が個人から社会に向かっていくのが実証できた.
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016-02-25 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.