著者
歐陽 宇亮
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.141-155, 2008 (Released:2020-03-09)

この研究は、「場」という概念装置を導入しつつ、現場でのフィールドワークを主要な方法とした、日本の「美少女ゲーム」のオーディエンスのアイデンティティと相互作用を分析し、「場」という概念装置の再検討をおこなう文化消費研究である。差異化・卓越化を図る文化消費の圏域として、ピエール・ブルデューによって提起された「場」は、日本では南田勝也によって応用され、関与対象の「文化的正統性」をめぐる象徴闘争によって参与者の卓越化が図られると論じられた。本稿は日本の美少女ゲームの文化消費をめぐる議論を通じて、メディアとオーディエンスという二つの文化消費研究の概念を用いた場の論理の精微化を例示する。日本の「美少女ゲーム場」において、メディアとオーディエンスが断絶し、文化的正統性をめぐる象徴闘争は卓越化が図りえない状況において展開する。このような対外的にのみ同一化する場を、「不完全な場」と表現することができる。それは外部のヘゲモニーによって場の力学が部分的に撹乱された状態であり、その背景には社会空間における社会的権力関係がある。
著者
歐陽 宇亮
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.141-155, 2008

この研究は、「場」という概念装置を導入しつつ、現場でのフィールドワークを主要な方法とした、日本の「美少女ゲーム」のオーディエンスのアイデンティティと相互作用を分析し、「場」という概念装置の再検討をおこなう文化消費研究である。差異化・卓越化を図る文化消費の圏域として、ピエール・ブルデューによって提起された「場」は、日本では南田勝也によって応用され、関与対象の「文化的正統性」をめぐる象徴闘争によって参与者の卓越化が図られると論じられた。本稿は日本の美少女ゲームの文化消費をめぐる議論を通じて、メディアとオーディエンスという二つの文化消費研究の概念を用いた場の論理の精微化を例示する。日本の「美少女ゲーム場」において、メディアとオーディエンスが断絶し、文化的正統性をめぐる象徴闘争は卓越化が図りえない状況において展開する。このような対外的にのみ同一化する場を、「不完全な場」と表現することができる。それは外部のヘゲモニーによって場の力学が部分的に撹乱された状態であり、その背景には社会空間における社会的権力関係がある。