著者
正木 宣恒
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協會會報 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.42, pp.129-162, 1928-03-15

呉海軍工廠造船部に於ては、可なり古くより請負工事を實施し居り、請負基準につきては、長年月の經驗と統計とによる相當確實なる工數表、單價表を制定せられあり、然るに尚此の基準決定を確立する為めに、更に作業の時間研究によりて、工事の基準決定用諸元の研究調査を行ひ、請負基準を科學的に處理決定せんとせり。而して各種方面に亘る造船作業に適應せしむる爲めに、時間研究法を短時間、長時間、既定的、未定的の4に分類し、根本的研究として先づ未定的及長時間研究をなし、一日中の許容時間及添加時間等の割合を定め、工場設備、管理法、作業方法等の適否を見出し、採集したる記録を充分比較吟味して、第2段の既定的及短時間研究に進み基準時間の決定に到達するを最良法と認めたり。實行の結果豫期以上の成績を得、二十幾年來制定せられたる工數表、單價表を確實化し得るに至れり。〓鋲時間研究の一例に見るも、短時間研究と長時間研究とによる標準時間の差約1割に達せる如きは、見逃す能はざる事實なりと認む。