著者
武 恒子 大塚 一止
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.125-129, 1964-06-20 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

抽出条件を変えて、調整した鰹節煮出汁の核酸組成を調べ、溶出された5'-IMP量と煮出汁抽出の条件との関連性について検討した結果を要約すると次の通りである。1. 煮出汁に溶出されるN量とP量には関連性がないが、P量の多い煮出汁には5'-IMP量も比較的多量に存在する傾向がある。2. 60℃、80℃、100℃の何れの温度でも5'-IMP量は殆んど差異が認められなかった。尚、5'-IMP量は100℃、10分の加熱時に於いて最高であった。3. 吸物用としては60℃ 5分浸漬する抽出法が、官能試験結果及び5'-IMP量よりも適当であることが明らかになった。
著者
武 恒子
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1.「卯の花納豆」の品質改良試験豆腐かす(オカラ、卯の花)に納豆菌YA株を作用させ、卯の花納豆を製造する際、酵素剤併用の効果について検討した。酵素は、(1)セルラ-ゼ3S(繊維素分解酵素)及びマセロチ-ムA(植物組織崩壊酵素)と(2)コクラ-ゼ(澱粉分解酵素)及びコクラ-ゼSS(蛋白分解酵素)を用いた。それぞれの単一使用と併用の場合の至適作用条件を確認の上、i)酵素で前処理を行った後、納豆菌を成育させる。ii)納豆菌を成育させた後、酵素を作用させる。の二法で納豆を試作した。納豆菌の培養条件は果37℃,16時間に統一した。品質の評価は、遊離の還元糖(Bertrand法)、アミノ酸類(日立アミノ酸分析計Lー8500)、水溶性全窒素(Kjeldahl法)、ビタミンB群(Microbioassay法)及び官能評価(五段階評点法・順位法)によった。その結果、酵素剤はi)ii)群ともに基質の0.5%ずつを併用することにより、旨味、栄養効果を高める可溶成分が顕著に増加することを確かめた。なお、酵素で前処理を行った後、納豆菌を作用させて「卯の花納豆」をつくる方法、逆の方法を用いた場合の約1.5〜2倍の糖化力を示した。また、総アミノ酸量は豆腐かすの約10倍、総必須アミノ酸量は21倍、呈味力の強いGlu.,Asp.はそれぞれ17倍と7倍に増加し、ビタミンはRibofravin,PaA,Folic.aの増加が顕著であった。2.「卯の花納豆」の利用法卯の花納豆の生製品をはんぺん、さつま揚げ、Rouxへ混合する場合の添加量を官能評価とTexture(クリ-プメ-タRE3305)を測定して求めた。はんぺんは20%、さつま揚げは5%、Rouxは50%まで可能で独特の風味をもつ食品として評価された。乾燥卯の花納豆は、鰹節、ゴマ、のり、梅干しの他、各種香辛料と良く調和する。