著者
小峰 隆夫 岡本 義行 黒田 英一 武藤 博己 申 龍徹 諏訪 康雄 岡田 恵子 田町 典子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

人口オーナスは現に進行しつつあり、大都市の一部においては今後一時的に改善するものの、再び悪化が見込まれる。人口オーナスは、生産年齢人口比率の低下によって生産を抑制し、税収も減少させる一方、社会保障給付の拡大をもたらす。不況による保険料収入の低迷もあって財政への負担は一層高まっており、地方の負担割合は上昇しつつある。また、高齢者割合の上昇と高齢者の高い投票率とによって、高齢者優先の政治的意思決定を前倒しで実現してしまう可能性が高い。
著者
五十嵐 敬喜 武藤 博己 大熊 孝
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究プロジェクトの実施により、次の知見が得られた。大きくはポスト公共事業社会成立に係わるもの、市場化改革の動向に係わるもの、市民事業の理論化に係わるものである。第一の点については、全国総合開発計画に係わる歴史分析、亀井改革、小泉構造改革などを通じた制度改革の動向、長野県、広島市などの事例研究を通じて、公共事業の縮小が構造的な要因に基づくものであることが明らかになった。併せて公共事業社会からポスト公共事業社会への移行を、歴史認識として鮮明化するために公共事業関連年表の作成を行った。第二の点については、公共事業がもたらした現代社会システムの問題性の検証及び、入札改革、PFI、指定管理者制度など、国における制度改革の事例研究を通じて、官を主体とした制度改革の限界が明らかになった。このなかで官から民へ、市民へという公共事業の主体の転換について方向性を示した。第三の点については、実態調査を通じた市民事業の現状を把握すると共に、これに対応した国及び地方自治体(長野県、山形県)の政策対応を検証することで、市民事業の可能性と公共事業のオルタナティブとなるための政策課題が明らかになった。また、市民事業の主体として建設業者の事業転換の可能性について方向性を示した。以上の作業を通じ、ポスト公共事業社会の展望として、「美しさ」という価値基準の提唱を試みると共に、市民事業を通じた新しい公共のあり方について提案を行った。