著者
小峰 隆夫 岡本 義行 黒田 英一 武藤 博己 申 龍徹 諏訪 康雄 岡田 恵子 田町 典子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

人口オーナスは現に進行しつつあり、大都市の一部においては今後一時的に改善するものの、再び悪化が見込まれる。人口オーナスは、生産年齢人口比率の低下によって生産を抑制し、税収も減少させる一方、社会保障給付の拡大をもたらす。不況による保険料収入の低迷もあって財政への負担は一層高まっており、地方の負担割合は上昇しつつある。また、高齢者割合の上昇と高齢者の高い投票率とによって、高齢者優先の政治的意思決定を前倒しで実現してしまう可能性が高い。
著者
黒田 英一
出版者
日本生活学会
雑誌
生活学論叢 (ISSN:24332933)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.37-46, 2005-09-30 (Released:2021-03-29)

The object of this paper is to describe the life-history of the Syudan-syusyoku generation who lived and worked in Tokyo. In order to accomplish this purpose, we had the intensive interviews with them. Subsequently we discovered the following. In nineteen fifties or sixties, the many adolescent have been to the big cities after graduated at the junior high school. They have formed the group and rode in the job train for Tokyo, Osaka and Nagoya (Syudan-syusyoku). They were apprenticed to the shops and factories. They have lived in the dormitories and have been working hard all day within the apprenticeship period. Because of a poor wage and few vacations, many workers quitted immediately. After acquired skills a few own shops and run factories now. Because of serving strict masters and taking good fortunes they are working as the top management of shops and factories. In nowadays they are the winners of the Syudan-syusyoku generation. Therefore we could trace the success story of the Syudan-syusyoku generation.
著者
伊藤 勲 沖 由香 黒田 英一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.351-357, 1996-03-20
参考文献数
13
被引用文献数
1

携帯電話, PHS等の普及により屋外で電話機を使用する機会が増え, 高騒音下における通話品質の改善や, ハンズフリー機能の実現が望まれている.上記解決手段のひとつとして, 周囲騒音を検出しにくく, 両手が自由に使える骨伝導マイクイヤホンが考えられる.本稿では, 通信端末用骨伝導マイクイヤホンの技術内容について解説する.
著者
黒田 英一
出版者
日本生活学会
雑誌
生活學論叢
巻号頁・発行日
no.10, pp.37-46, 2005-09-30

The object of this paper is to describe the life-history of the Syudan-syusyoku generation who lived and worked in Tokyo. In order to accomplish this purpose, we had the intensive interviews with them. Subsequently we discovered the following. In nineteen fifties or sixties, the many adolescent have been to the big cities after graduated at the junior high school. They have formed the group and rode in the job train for Tokyo, Osaka and Nagoya (Syudan-syusyoku). They were apprenticed to the shops and factories. They have lived in the dormitories and have been working hard all day within the apprenticeship period. Because of a poor wage and few vacations, many workers quitted immediately. After acquired skills a few own shops and run factories now. Because of serving strict masters and taking good fortunes they are working as the top management of shops and factories. In nowadays they are the winners of the Syudan-syusyoku generation. Therefore we could trace the success story of the Syudan-syusyoku generation.
著者
黒田 英一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.443-458, 1996-03-30 (Released:2010-01-29)
参考文献数
11

ピオリ, セーブルは『第二の産業分水嶺』において, 大量生産システムにかわる生産方式として「柔軟な専門化」を提唱してきた。本稿は, 日本の有名な精密機器メーカーのひとつであるキャノンをとりあげ, 同社の生産ネットワークの事例調査により, 「柔軟な専門化」の日本への敷衍化を試みている。キャノンの生産ネットワークには2つのタイプがみられる。まず, 試作品の生産ネットワークでは, 専門技術を持つ協力企業が, 大田, 品川に立地し, 試作品専業の企業を中心にゆるやかに結びつき, 新製品開発という共通の目標に向かって, キャノンの製品開発を支えている。次が, 量産品の生産ネットワークである。量産品を支える企業は, 地方に立地し, 高品質, 廉価, 短納期の部品を製造している。今回の事例調査から, 試作品の生産ネットワークにおいて, 「柔軟な専門化」の特徴が見いだせる結果となっている。しかも, 試作品を担う企業は量産品も製造しており, 現実には複雑で多面的な生産ネットワークを構成しているといえる。
著者
黒田 英一
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では、集団就職世代の工場経営者・商店主を対象に聞き取り調査を行った。聞き取り調査結果をまとめると、次のようになる。1 集団就職により大都会に出てきた中卒者のうちわずかしか工場経営者・商店主になることができなかった。それ以外の者は、大都会で転職を重ねて雇われ職人や単純労働者になり、あるいは帰郷卸した者、消息不明などである。2 努力してそれなりに工場経営者・商店主になれたのは、勤務した先の経営者に恵まれたことである。良き「社長」「おやじ」に恵まれて、そこで技能を徹底的に修得させられただけでなく、仕事以外の面でも厳しく躾けられた。3 集団就職世代が厳しい就業環境のなかで習得した技能は、職種や産業によって違いがみられた。小売業のように2,3年で習得できる接客・サービスの技能もあれば、10年近くたってようやく身につく大工や旋盤の技能もあった。4 就職先は住み込みであり、経営者と同じ屋根の下で暮らしたことから、集団就職世代にとって、就職先はもうひとつの家庭となった。生まれ故郷に次ぐ「第2の家庭」であった。5 「一国一城の主」になることができなかったものの、集団就職は中学卒業者にとっては大都会に入ることができる最初の一歩であり、その後の人生の入り口ともなった。こうした研究成果をふまえると、集団就職はよきにつけ悪しきにつけその後の人生のひとつの契機となっており、たまたま艮き経営者に恵まれた者だけが、工場経営者・商店主となって「サクセス・ストーリー」を演じることができたといえる。厳しい競争であっても、大都会は技能を磨けば社会階層を移動できる機会を若年労働者に与えていた公正な社会であった。