著者
谷 友之 太田 智之 武藤 桃太郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.315-319, 2008 (Released:2008-10-02)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は21歳,男性.右下腹部痛を主訴に来院した.血液検査では炎症マーカーの軽度上昇がみられ,腹部CT検査で右下腹部にtarget signを認めたため回盲部腸重積症と診断した.その後の大腸内視鏡検査では虫垂開口部を中心とした発赤の強い粘膜下腫瘍様隆起を認めたため,虫垂炎による虫垂重積症と診断した.1週間の保存的治療により重積所見の改善を認めた.その後外科的に虫垂切除術を施行したところ,病理組織学的結果は特に重積の核となるような器質的疾患をともなわない急性蜂窩織炎性虫垂炎であった.虫垂重積症は成人腸重積の中で頻度はまれだが,原因として本例のような急性虫垂炎の可能性も考慮する必要があると考えられた.
著者
武藤 桃太郎 武藤 瑞恵 石川 千里 井上 充貴 升田 晃生 高橋 裕之 萩原 正弘 青木 貴徳 橋本 道紀 稲葉 聡 矢吹 英彦
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.49-56, 2014

症例1は85歳, 女性。近医にてCEA9.2ng/mlと高値を指摘され当科紹介となった。CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸下端に半球状の表面平滑な隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは4.7ng/mlと正常化した。 症例2は74歳, 女性。高血圧, 高脂血症で当科通院中にCEA12.3ng/mlと高値を示し, CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは1.5ng/mlと正常化した。 いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった。