著者
佐藤 智 河島 尚志 渡邊 知愛子 五百井 寛明 長谷川 大輔 西亦 繁雄 柏木 保代 武隈 孝治 星加 明徳
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第33回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.44, 2005 (Released:2005-10-18)

HPSは多彩な臨床症状で発症する。今回我々は致死的経過を示したVAHSを4例経験したので報告する。症例1:SLEの19歳女性。発熱、咽頭痛を主訴に入院。EBV感染と診断した。解熱せず、肝脾腫、汎血球減少、肝機能障害、フェリチンの上昇を認めた。IVIG、mPLSパルス療法、CyA、血漿交換施行も効果なく入院72日目に死亡。症例2:2ヶ月男児。発熱、哺乳低下を主訴に入院。Combined immnunodeficiency with predominant T cell defectと診断した。CMV感染症を発症し、肝脾腫、汎血球減少、高フェリチン血症を認めた。IVIG、mPLSパルス療法、交換輸血施行も改善なく入院76日目に死亡。症例3:1歳4ヶ月男児。心肺停止にて当院に搬送され、入院20時間後に死亡。骨髄、肝組織からパラインフルエンザ2ウイルスを検出した。症例4:4ヶ月男児。心肺停止にて当院に搬送され、入院23時間後に死亡。髄液、肝組織からエンテロウイルスを検出した。考察:HPSは急激な経過を示し予後不良のことがある。症例1,2のように基礎疾患がある場合早期の治療介入が必要と考えられた。症例3,4ではHPSが乳幼児期では突然死との関連も示唆される可能性があった。4例とも高サイトカイン血症と病理所見から血球貪食像と多量のウイルスを認め、ウイルスの増殖の抑制ができないことが誘引と考えられた。