著者
比嘉 夏子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

19年度は、前年度までに実施したトンガ王国における長期フィールドワークで得られたデータを整理、分析し、それを国際的な場において発表することに重点を置いて研究を進めた。具体的な成果としては、ブタをはじめとする多くの伝統財が贈与交換された国王葬儀や宗教行事を比較研究し、2007年6月に開催された第21回太平洋学術会議においてContinuity and Change of Gift and Tribute:Spectacular Practice in the Modern Kingdon of Tongaのタイトルで、英語ポスター発表を行った。また、雑誌Research in Economic Anthropologyへ投稿した論文、Economics Emerging Between Religious Faith and Practice:A Microanalysis of a Donation Event in the Kingdon of Tonga(現在査読中)の執筆をおこない、現代のトンガ王国において、依然として顕著な現象として見られる宗教的贈与について、信仰と経済活動とがどのように人びとの日常生活を織りなしているのか、村落調査で得られた詳細なデータをもとに分析、検討した。年度末にはこれまでのトンガ王国での調査をさらに深めるべく、トンガとは地理的、文化的に隣接していながらも、現在はニュージーランドの自治領であることから島内の過疎化が進行しているニウエ島での短期調査を実施し、王制を維持しているトンガとニュージーランド本島の影響を強く受けているニウエ島の生活が、ブタ飼養や贈与交換のありかたなど、さまざまな点においてかなり異なったものであることが確認された。
著者
松木 武彦 藤澤 敦 渡部 森哉 比嘉 夏子 橋本 達也 佐々木 憲一 寺前 直人 市川 彰
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

2020~2021年度は、集成したデータ群を配列し、事象の出現の順番と因果関係を見据えつつ戦争の出現・発展・低減・消滅のプロセスを地域ごとに提示し、「戦争プロセスモデル」を作成する。2022年度は、このモデルにモニュメント築造(A01班)や技術革新・芸術表現(A02班)などの事象を織り込み、戦争プロセスの認知的側面を明示する。2022年度後半~2023年度前半には、B03 身体班と協業し戦争プロセスの身体的側面を解明する。2023年度後半は、C01モデル班との共同作業によって、集団の複合化と戦争という事象が、ヒトの認知と身体を媒介として文明創出に寄与するメカニズムを提示する。