著者
中西 美和 比嘉 裕介 岩永 光一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-24, 2011-05-31 (Released:2017-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
3

仮想三次元空間を体験する際、ユーザに与えられる視点は、大きく分けて二通りある。主人公の視点が再現される主観視点(First Person View)と、主人公を第三者的に見る客観視点(Third Person View)である。本研究では、主観視点と客観視点が持つ視覚的な特性の違いを踏まえて、それらが仮想三次元空間を体験するユーザの振る舞いに変化をもたらすのか、また、もたらすとすればそれぞれの視点においてどのような振る舞いが見られるのか明らかにする。実験では、仮想三次元空間に演出された迷路を二つの異なる視点でユーザに体験させ、その際の振る舞いを複数の観点から詳細に分析した。結果から、主観視点では視覚におけるリアリティが保たれる一方、行動におけるリアリティが損なわれがちであること、逆に客観視点では現実とは異なる視点が与えられる一方、行動におけるリアリティが維持されやすいことを見出した。最後に、上記の結果をもとに、用途や目的に応じた適切な視点の適用について提案した。