著者
針谷 爽 坂田 理彦 岩原 明弘 伊藤 大聡 中西 美和
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.4_59-4_66, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
10

従来,製品デザインにおいては,ユーザが製品を通してどのような価値を体験したいのかをユーザ調査等によって掴み,それに忠実に応えるよう情報伝達形態をデザインすることが重視されてきた。一方,最近では,開発者側が積極的に発信したいと意図する価値を製品デザインに反映させる試みも見られ,ユーザのニーズを超えた製品デザインに繋がる可能性が期待されている。そこで,本研究では,開発者の意図する製品価値をより的確にユーザに伝えるための情報伝達形態について,家電製品を対象として評価・検討する。まず,開発者及びユーザの両者に対して調査を行い,家電製品に備わる直接的または間接的な情報伝達形態についてパタン化した上で,各パタンに作りこまれた開発者が意図する製品価値がユーザにどの程度伝わっているのかを疎通度として定量化した。次に,この疎通度を用いて,開発者がユーザに与えたいと意図した製品価値をユーザに的確に伝えるためには,どの情報伝達形態のデザインに注力すべきかを導出した。
著者
渡邉 萠 中西 美和
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_49-5_58, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
41

「『愛着』がある」と表現されるモノは、そのユーザに長きに渡って高い心理的価値をもたらすとして、近年、プロダクトデザインに携わる従事者に注目されている。しかし、人がどのようにモノに対する「愛着」を形成していくのか、また、それを促す方法としてどのような実際的手段があるかは、明らかになっていない。そこで、本研究では、「愛着」の原義が定義される心理学理論に基づき、「愛着」の観点をプロダクトに埋め込むデザイン戦略を提案し、適用したときユーザの「愛着」形成が促されるかどうかを実験的に検証した。まず、心理学理論に基づき、「愛着」を形成する要件を検討し、これをスマートフォンアプリとして実装した。次に、ユーザを、アプリを使用するグループと、使用しないグループの2つに分け、製品に対する「愛着」の変化を、先行研究で明らかにした「愛着」検出指標(脳血液量変化、指突容積脈波)を用いて計測、分析した。その結果、提案したデザイン戦略が、ユーザのモノに対する「愛着」形成の促進において有効である可能性が示唆された。
著者
中西 美和 比嘉 裕介 岩永 光一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-24, 2011-05-31 (Released:2017-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
3

仮想三次元空間を体験する際、ユーザに与えられる視点は、大きく分けて二通りある。主人公の視点が再現される主観視点(First Person View)と、主人公を第三者的に見る客観視点(Third Person View)である。本研究では、主観視点と客観視点が持つ視覚的な特性の違いを踏まえて、それらが仮想三次元空間を体験するユーザの振る舞いに変化をもたらすのか、また、もたらすとすればそれぞれの視点においてどのような振る舞いが見られるのか明らかにする。実験では、仮想三次元空間に演出された迷路を二つの異なる視点でユーザに体験させ、その際の振る舞いを複数の観点から詳細に分析した。結果から、主観視点では視覚におけるリアリティが保たれる一方、行動におけるリアリティが損なわれがちであること、逆に客観視点では現実とは異なる視点が与えられる一方、行動におけるリアリティが維持されやすいことを見出した。最後に、上記の結果をもとに、用途や目的に応じた適切な視点の適用について提案した。
著者
中西 美和
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、透過型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用した強化現実(AR)の技術を、作業マニュアルに応用することを目指し、そのためのヒューマンファクターガイドラインを示した。特に本研究では、作業マニュアルによって与えられるインストラクションの内容、及びそれが用いられる際の作業状況を考慮し、各ケースにおける応用可能性を、ヒューマンファクター実験による評価に基づいて明らかにした。