著者
水原 敬洋 後藤 隆久
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.736-741, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
30

キセノンに麻酔作用があることが1946年に報告されて以来さまざまな研究が行われ,その特性が麻酔薬として理想的であることが判明している.キセノンはすでに欧州では麻酔薬として臨床認可されており,本邦でも臨床認可される可能性はあると考えられる.キセノンは導入・覚醒が早い,鎮痛作用を持つ,術中の循環動態が安定する,脳保護作用を持つ,術後認知機能障害を予防できる可能性がある,といった多数の利点を持っている.しかし一方で,キセノン自体のコストは高く,臨床普及を阻む欠点となっている.本稿ではキセノン麻酔の利点と欠点を概説し,今後の展望についてまとめる.