著者
水原 紹
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.33-55, 2009-07

本研究は『社会科学』第78号で検討したランドマーク商品としての携帯音楽プレーヤー(ウォークマン)に現在主流となっている携帯音楽プレーヤーのiPodを加え,比較を試みたものである。既に「ランドマーク商品」としてウォークマンをはじめとする携帯音楽プレーヤー(前回は携帯「オーディオ機器」と表記)のランドマーク性について検討してみたが,携帯音楽プレーヤーは今も進化の途中であり,特に2001年に発売されたアップル社のiPodの与えた影響というものは大きい。そこで同じ携帯の音楽プレーヤーではあるが,実際かつてのウォークマンとはどう違うのか,その社会的影響力はウォークマン以上に大きいと考える。ウォークマンが音楽の聴き方を変え,若者のライフスタイルを変えたのは周知の事実であるが,iPodはこれに加えてソフト産業そのもののあり方にまで大きな影響を与えた。またそれはアップルとソニーというコンピューター会社と家電会社という製品の種類の異なった会社だからこそできた発想の違いであり,コンピューター会社だからこそできたアプローチでもあった。携帯音楽プレーヤーは予想外の全く次元の違う分野から高度に発展をすることでそれまで予想もしなかったランドマーク商品を生み出したと言えよう。
著者
水原 紹
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.1-21, 2007

今日普及している携帯オーディオ機器の原点はソニーのウォークマンであり、その社会生活への影響は大きい。ソニーのウォークマンは独自の技術から生まれた物ではなく、それに先行する技術として開発されたテープレコーダーやステレオ音声技術の組み合わせによるアイディア商品である。また若者の間で十分に普及しているウォークマンであるが、若者は常に感性が鋭く、最新の物に敏感に反応する。そういった若者の心を見事に掴むことに成功した商品であるばかりか世界中の音楽を聴くスタイルそのものを変えてしまった画期的商品である。その特徴は聴く場所を選ばない、つまりかつてのステレオセットのようにリスニングルームを固定することがない。またカーオーディオやラジカセよりも移動が自由である点がランドマーク商品として大きな意味を持つ。しかし携帯オーディオ機器は次の段階を迎え、携帯電話との融合が図られている。携帯にその機能が吸収され複合化商品の時代へと突入したのである。将来携帯オーディオ=携帯電話が当たり前の時代が来る日も近い。