著者
小倉 剛久 平田 絢子 林 則秀 久次米 吏江 伊東 秀樹 武中 さや佳 水品 研之介 中橋 澄江 山下 奈多子 今村 宗嗣 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.374b, 2014 (Released:2014-10-07)

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)において,発症・再燃と季節の関係が認められるとすれば,臨床上重要な知見であるばかりでなく,病因・病態の解明にもつながるものと考えられる.【目的】SLEにおける発症・再燃と季節の関連性について明らかする.【対象・方法】ACR分類基準を満たすSLE患者122例(男性14例,女性108例)を対象に,診療録より発症・再燃月を調査した.再燃は疾患活動性の新たな出現,もしくは悪化を認め,3ヶ月以内にステロイド薬の新たな開始もしくは50%以上の増量および免疫抑制剤の変更,開始を行った場合とした.【結果】発症は秋に少ない傾向があった.再燃は春に多く,秋に少なかった.また複数回再燃した症例では,再燃時期が近似した.春の再燃では紅斑が多かった.【結論】SLEの発症,再燃は季節に関連性が認められ,春期に多かった.
著者
水品 研之介 小倉 剛久 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.328b, 2015 (Released:2015-10-25)

関節リウマチ(RA)の治療にメソトレキセート(MTX),生物学的製剤が導入されている中で生じるニューモシスチス肺炎(PCP)は,急激な経過をとり重症の呼吸不全を呈することが知られている.RAのような,非ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症例で生じるPCPでの肺障害は主に宿主の免疫応答によって生じることが知られている.サラゾスルファピリジン(SASP)はRAの治療に用いられる薬剤だが,非HIVモデルのマウスのPCPにおいて,SASPの投与が,肺における免疫応答を減弱させたり,マクロファージの貪食を促進させ,PCPの重症度を改善させた報告がある.しかし,実臨床の現場でSASPとPCPの発症について検討された報告は未だに無い.そこで,MTX内服中のRA患者がSASPを内服することにより,PCPの発症を抑制できるかどうかを検討した.【方法】対象は2005年1月から2013年10月までに当院にて加療されたRA患者とした.MTXを内服している対象患者合計210人が抽出され,SASP併用のない群と,SASP併用のある群に分け,両群間においてPCP発症率に差があるか統計学的に検討した.【結果】SASP(−)群では149例中10例にPCPの発症が認められたのに対し,SASP(+)群でのPCP発症はなく,両群間には有意な差が認められた(P = 0.0386).【結論】SASPの内服はRA患者においてPCP発症抑制効果があることが示唆された.今後,更なる大きなコホートやRCTによる検証が望まれる.