著者
小倉 剛久 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.25-32, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどに代表される自己免疫性疾患の発症,増悪と季節の関連が報告されている.季節性の特徴は各々の疾患,報告によって異なるが,日光(紫外線)や感染の関与など病態における環境因子を推測する上で重要な要素となり得る.近年ではビタミンDと疾患の関連や,同一疾患における自己抗体による病因の違いなどの報告も認められている.
著者
小倉 剛久 平田 絢子 林 則秀 久次米 吏江 伊東 秀樹 武中 さや佳 水品 研之介 中橋 澄江 山下 奈多子 今村 宗嗣 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.374b, 2014 (Released:2014-10-07)

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)において,発症・再燃と季節の関係が認められるとすれば,臨床上重要な知見であるばかりでなく,病因・病態の解明にもつながるものと考えられる.【目的】SLEにおける発症・再燃と季節の関連性について明らかする.【対象・方法】ACR分類基準を満たすSLE患者122例(男性14例,女性108例)を対象に,診療録より発症・再燃月を調査した.再燃は疾患活動性の新たな出現,もしくは悪化を認め,3ヶ月以内にステロイド薬の新たな開始もしくは50%以上の増量および免疫抑制剤の変更,開始を行った場合とした.【結果】発症は秋に少ない傾向があった.再燃は春に多く,秋に少なかった.また複数回再燃した症例では,再燃時期が近似した.春の再燃では紅斑が多かった.【結論】SLEの発症,再燃は季節に関連性が認められ,春期に多かった.
著者
亀田 秀人 小川 祥江 鈴木 勝也 長澤 逸人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2506-2511, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9

シクロスポリン(CsA)とタクロリムス(Tac)は,カルシニューリンの脱リン酸化酵素活性阻害を介したT細胞の活性化制御を主作用とする薬剤である.CsAはシクロフィリン,TacはFKBP12と結合して作用を発揮するという相違もあって,2つの薬剤の副作用や疾患に対する効果に差異が見られる.難治性病態に対しては,従来の核酸代謝拮抗薬との併用療法の有用性が期待されている.
著者
水品 研之介 小倉 剛久 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.328b, 2015 (Released:2015-10-25)

関節リウマチ(RA)の治療にメソトレキセート(MTX),生物学的製剤が導入されている中で生じるニューモシスチス肺炎(PCP)は,急激な経過をとり重症の呼吸不全を呈することが知られている.RAのような,非ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症例で生じるPCPでの肺障害は主に宿主の免疫応答によって生じることが知られている.サラゾスルファピリジン(SASP)はRAの治療に用いられる薬剤だが,非HIVモデルのマウスのPCPにおいて,SASPの投与が,肺における免疫応答を減弱させたり,マクロファージの貪食を促進させ,PCPの重症度を改善させた報告がある.しかし,実臨床の現場でSASPとPCPの発症について検討された報告は未だに無い.そこで,MTX内服中のRA患者がSASPを内服することにより,PCPの発症を抑制できるかどうかを検討した.【方法】対象は2005年1月から2013年10月までに当院にて加療されたRA患者とした.MTXを内服している対象患者合計210人が抽出され,SASP併用のない群と,SASP併用のある群に分け,両群間においてPCP発症率に差があるか統計学的に検討した.【結果】SASP(−)群では149例中10例にPCPの発症が認められたのに対し,SASP(+)群でのPCP発症はなく,両群間には有意な差が認められた(P = 0.0386).【結論】SASPの内服はRA患者においてPCP発症抑制効果があることが示唆された.今後,更なる大きなコホートやRCTによる検証が望まれる.
著者
森 美加 馬渕 麻由子 酒井 佳永 安田(鹿内) 裕恵 岩満 優美 飯嶋 優子 日高 利彦 亀田 秀人 川人 豊 元永 拓郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.132-145, 2013-07-15 (Released:2017-01-26)

女性が多数を占める疾患である関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : 以下,RAとする)患者がどのような心理的支援を望んでいるのか,そのニーズを調査し,さらに,RA患者に対するサービスのあり方を検討し,ニーズに合わせた支援プログラムを提案することを目的として,2011年2月から8月,RAに罹患し医療機関にて治療を受けているRA患者で,研究参加に同意した20名(女性18名,男性2名)を対象として,調査票および面接による調査を行い,面接の逐語記録の文書データをグラウンデッドセオリーアプローチを参考にして分析した.その結果,電話相談,ホームページ,メール相談,個別心理相談,心理教育,セルフケアグループすべての支援に対してニーズがあり,特に電話相談(必要時),個別心理相談(通院先),心理教育のニーズは顕著であった.そこで,個別心理相談,心理教育を中心とした,チームによる包括的なケアシステムがRA患者のQOLを高めるためには有効なのではないかと考えられる.また,心理教育のテーマとしては,確定診断時においては,(1)病気の具体的な説明,(2)身体的ケア,(3)心理的ケア,(4)療養上の工夫が,生物学的製剤開始時においては,(1)効果と副作用を中心とした具体的説明,(2)自己注射について,(3)費用について,(4)生物学的製剤を使用する上での不安と期待についてが,家族向けとしては,(1)病気の説明,(2)RA患者の心理について,(3)家族へのケアが考えられる.さらに,不安の受容と変化を併せ持った心理療法的チームアプローチであるDBTを参考にした包括的ケアシステムの開発は,不安と安心の間で揺れ動くRA患者の心理的ケアのモデルとして有効であり,また,RA患者の長期的Quality of Lifeを最大にすることを治療目標とするT2T(Treat to Target)の有効性に繋がるのではないかと考えられる.
著者
亀田 秀人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.10, pp.2886-2892, 2012 (Released:2013-10-10)
参考文献数
7

RAにおける疾患活動性とは,関節を中心とした臓器障害の時間微分値であり,逆に活動性の時間積分値が関節破壊や関節機能障害に相当する.活動性の評価には関節所見を含めた包括的(総合的)活動性指数が用いられ,DAS28,SDAI,HRAS38などが提唱されている.いずれの指標も臨床的に有用であるが,限界を認識しながら用いることが大切である.
著者
鹿内 裕恵 岩満 優美 森 美加 馬渕 麻由子 酒井 佳永 飯嶋 優子 日高 利彦 亀田 秀人 川人 豊 元永 拓郎
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.35-44, 2013 (Released:2013-12-20)
参考文献数
35

This study aimed to qualitatively examine psychological and behavioral reactions to rheumatoid arthritis (RA) from the appearance of initial symptoms to after definitive diagnosis. Between February 2011 and August 2011, subjects were recruited by introduction from one patient group and four medical institutions (general hospitals). Twenty patients (mean age: 56.5±10.8 years) provided written consent to participate in the study. We conducted semi-structured interviews with the patients, asking about thoughts, feelings, and conditions from the appearance of initial symptoms to after definitive diagnosis. In order to qualitatively examine patients' psychological and behavioral reactions, we conducted summarizing content analysis. At onset, patients experienced the appearance as well as disappearance of pain. Moreover, patients saw things optimistically. While they mentioned "I don't know what has happened," their only exploratory efforts were to "look up RA in books." At the time of their first visit to a medical institution, patients came to harbor worries and anxieties. They transitioned to consultation behavior, saying, "I'll visit a specialized medical institution." Furthermore, after definitive diagnosis, patients newly came to have emotions and thoughts such as mistrust or a sense of relief regarding doctors and medical professionals, and depression, worry, anxiety, or relief regarding illness.
著者
森 美加 馬渕 麻由子 酒井 佳永 安田(鹿内) 裕恵 岩満 優美 飯嶋 優子 日高 利彦 亀田 秀人 川人 豊 元永 拓郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.132-145, 2013

女性が多数を占める疾患である関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : 以下,RAとする)患者がどのような心理的支援を望んでいるのか,そのニーズを調査し,さらに,RA患者に対するサービスのあり方を検討し,ニーズに合わせた支援プログラムを提案することを目的として,2011年2月から8月,RAに罹患し医療機関にて治療を受けているRA患者で,研究参加に同意した20名(女性18名,男性2名)を対象として,調査票および面接による調査を行い,面接の逐語記録の文書データをグラウンデッドセオリーアプローチを参考にして分析した.その結果,電話相談,ホームページ,メール相談,個別心理相談,心理教育,セルフケアグループすべての支援に対してニーズがあり,特に電話相談(必要時),個別心理相談(通院先),心理教育のニーズは顕著であった.そこで,個別心理相談,心理教育を中心とした,チームによる包括的なケアシステムがRA患者のQOLを高めるためには有効なのではないかと考えられる.また,心理教育のテーマとしては,確定診断時においては,(1)病気の具体的な説明,(2)身体的ケア,(3)心理的ケア,(4)療養上の工夫が,生物学的製剤開始時においては,(1)効果と副作用を中心とした具体的説明,(2)自己注射について,(3)費用について,(4)生物学的製剤を使用する上での不安と期待についてが,家族向けとしては,(1)病気の説明,(2)RA患者の心理について,(3)家族へのケアが考えられる.さらに,不安の受容と変化を併せ持った心理療法的チームアプローチであるDBTを参考にした包括的ケアシステムの開発は,不安と安心の間で揺れ動くRA患者の心理的ケアのモデルとして有効であり,また,RA患者の長期的Quality of Lifeを最大にすることを治療目標とするT2T(Treat to Target)の有効性に繋がるのではないかと考えられる.