著者
水本 晋
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.284-287, 1955

本研究はコデイワカイガラタケ,ヒロバノキカイガラタケ,キチリメンタケ及びキカイガラタケの4種に対する,シラカシ,オニグルミ,カツラ,クリ,シラカンパ,スズカケノキ,ヤナギ等7種の広葉樹材の耐朽力を28&deg;Cの定混器内において比較したものであつて,実験結果の概要は下記の如くである。<br> 1. 供試材片上における菌糸の発育は,キチリメンタケが最も良好で,キカイガラタケは不良,コゲイロカイガラタケ及びヒロバノキカイガラタケは発育中位であつた。<br> 2. 心材は一般に配朽力が強く,なかんずくクリ心材は最も強大であつた。これに反し,各辺材は一般に耐朽力が弱く,なかんずくシラカンバ及びヤナギの辺材は全供試材片中最も激しく腐朽した。<br> 3. 自然界に於て,一般に針葉樹材を侵害するものとされているコゲイロカイガラタケ及びキチリメンタケは実験室内の条件下では広葉樹材にも強い腐朽力を示し,亀裂性褐色朽を基因した。而してヒロハノキカイガラタケの腐朽力は梢々弱く,キカイガラタケは最も弱かつた。
著者
水本 晋
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.437-439, 1956-11-25

コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケ及びキカイガラタケの侵害を受けて木材が腐朽する場合に, 温度によつて如何なる影響を受けるかを知らんとし, アカマツ, ツガ及びモミの材片を用いて実験を試みた結果, コゲイロカイガラタケでは28℃, ヒロハノカイガラタケ, キチリメンタケ及びキカイガラタケでは何れも32℃で腐朽の最大値を示した。菌糸の発育に対する適温はコゲイロカイガラタケが26°〜28℃, ヒロハノキカイガラタケ外2菌が32°〜34℃であつたところからして, これら4種の菌では腐朽に対する適温と菌糸の発育に対する適温とがほぼ一致するものと見なされた。