著者
下山 節子 水町 淑美 平川 オリエ 田中 利恵
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.159-167, 2005-03-01

腹膜透析および血液透析者の家族が抱える健康問題を比較し、透析者家族のQOL向上を目指した看護援助の課題を明らかにすることを目的として研究を行った。対象は、腹膜透析者の家族22名と血液透析者の家族43名。健康関連QOL尺度SF-36日本語版1.2による質問紙調査を実施した。調査期間は、2002年3月(腹膜透析者の家族)と2003年9月(血液透析者の家族)であった。腹膜透析の家族と血液透析者の家族のQOLを比較した結果、腹膜透析者の家族は、精神的負担感が強いことが明らかとなった。特に、精神的健康感が低かったのは、腹膜透析者の家族の年齢60歳以上、女性、家族自身が病気をもっている、透析歴5年未満の家族であった。週3回外来通院する血液透析とは異なり、腹膜透析が在宅療養であることも家族の精神的負担を強くしていると考えられる。腹膜透析者の家族がもつ精神的健康問題については、家族に対するカウンセリングや家庭訪問など積極的な介入の必要性が示唆された。