著者
水谷 美保
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.32-46, 2005-10-01 (Released:2017-07-28)

<行く><来る><いる>の尊敬語形式について,東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県に生育し居住する20歳以上の146人を対象にしたアンケート調査と,東京出身作家76人(76冊)の小説を用いた調査を行い,「イラッシャル」は,表すとされてきた<行く><来る><いる>それぞれの意味で用いられるのではなく,<来る><いる>としては使用され続けているが,<行く>には用いられなくなりつつあることを明らかにした。この変化の主な要因としては,「イラッシャル」は敬意によって動作主の移動の方向を中和するよりも,話し手が自身の関わる移動を,優先して表すようになったことにあるとした。そのために,「イラッシャル」が表す移動は,話し手(の視点)の位置が動作主の到達点となる<来る>になり,移動を表すことを同じくしながら,話し手の関わりが大きくない<行く>は,「イラッシャル」の意味領域から排除されることになった。
著者
水谷 美保
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.32-46, 2005-10-01

<行く><来る><いる>の尊敬語形式について,東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県に生育し居住する20歳以上の146人を対象にしたアンケート調査と,東京出身作家76人(76冊)の小説を用いた調査を行い,「イラッシャル」は,表すとされてきた<行く><来る><いる>それぞれの意味で用いられるのではなく,<来る><いる>としては使用され続けているが,<行く>には用いられなくなりつつあることを明らかにした。この変化の主な要因としては,「イラッシャル」は敬意によって動作主の移動の方向を中和するよりも,話し手が自身の関わる移動を,優先して表すようになったことにあるとした。そのために,「イラッシャル」が表す移動は,話し手(の視点)の位置が動作主の到達点となる<来る>になり,移動を表すことを同じくしながら,話し手の関わりが大きくない<行く>は,「イラッシャル」の意味領域から排除されることになった。
著者
雨宮 伸幸 水谷 美保子 梨本 友美 川口 絢美 岩谷 洋介 能木場 宏彦 山﨑 麻由子 杉浦 秀和
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.243-249, 2023 (Released:2023-06-28)
参考文献数
25

腹膜透析(PD)関連腹膜炎はPD患者にとって重要な合併症であり,セファロスポリン系抗菌薬は初期治療に選択され得る薬剤である.86歳女性,腎硬化症による慢性腎臓病のためPDを導入.PD導入5か月後に細菌性腹膜炎を発症し,セファゾリン(CEZ)1g,セフェピム(CFPM)1g/日の腹腔内投与を開始した.腹膜炎は改善傾向となるも第5病日から意識障害が出現した.頭部MRIで原因となる異常を認めず,脳波検査で三相波を認め,抗菌薬関連脳症(AAE)が疑われた.第5病日CEZ中止,第6病日CFPMをメロペネムに変更し,意識障害は徐々に改善し第16病日には清明となり,第29病日に退院した.PD患者に発症したAAEの報告は限られており,さらに推奨される腹腔内投与量でのAAEの既報はない.しかし,PD患者ではCFPMの除去効率は悪く,用量を調節し腹腔内投与を行った場合でもAAEには注意が必要である.