著者
内藤 克彦 水野 幸男 林 和彦 山ノ井 基臣
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

日本およびメキシコにおける避雷器適用による電力供給の高信頼化を図るために、両国の研究者が共同し、送電線用避雷器設置効果のシミュレーション、変電所用避雷器の人工汚損実験などを実施した。具体的成果を以下にまとめる。1.メキシコ首都電力電灯公社および国家電力庁を訪問し、雷事故および避雷器に関して討論・調査を行った。雷事故記録に関する資料を入手するとともに、400-kV変電所などにおいて避雷器の設置状況の実地調査を実施した。2.4回線併架送電線を対象とし、避雷器の設置個数・場所と避雷効果との関連をEMTP(過渡現象解析プログラム)を用いたシミュレーションにより評価した。避雷器の設置個数が多いほど効果的ではあるが経済性も含めた検討が必要であること、同じ設置個数の場合には効果的な設置場所があること、がわかった。また、接地抵抗や雷道インピーダンスに関する評価も実施した。3.変電所用避雷器の人工汚損試験を実験室で行い、避雷器がい管の抵抗を8つの部分に分けて抵抗の時間変化を測定した。避雷器表面は全体が時間とともに一様に乾燥して行くのではなく、ある部分のみが乾燥し、他の部分は湿潤したままであることがわかった。4.前項の試験結果を基に避雷器表面抵抗の時間変化を数式で表わし、避雷器の物理・数学モデルを構築して避雷器表面および内部素子の電位・温度分布の時間変化をシミュレーションにより求めた。表面が乾燥する部分の分担電圧がかなり大きくなるが、素子損傷に至るほどの素子温度は上昇しないことがわかった。また、がい管と内部素子との間の放電発生を想定しても、素子損傷には至らないことがわかった。5.実験室で避雷器碍管表面の電位分布を実測する方法を調査・検討し、ポッケルス効果を利用した光電界センサが適しているとの結論に達した。発・受光回路の設計・製作をして動作を確認した。
著者
内藤 克彦 水野 幸男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

年間の湿度変化を踏まえた上で、自然状態において絶対湿度の3〜20mg/cm^3の条件下でがいしのフラッシオーバ電圧に及ぼす絶対湿度の効果を調べた。試料として懸垂がいし、ピンがいし、ステーションポストがいし、ラインポストがいし、長幹がいし、高分子がいしを用いた。印加電圧は、交流電圧、雷インパルス電圧、開閉インパルス電圧および直流電圧とした。高分子がいしについては、フラッシオーバ電圧に影響を与えると考えられる表面の撥水性に関する基礎実験も実施した。本研究で得られた結果を以下に示す。1. 3年間の湿度実測データを解析した結果、絶対湿度は冬期に最小値3mg/cm^3の程度、夏期に最大値20mg/cm^3程度を示し、その間は緩やかに変化することがわかった。2.懸垂がいしおよびピンがいしに正・負雷インパルス電圧を印加した場合には、フラッシオーバ電圧は絶対湿度の上昇とともに低下することが確認された。現行のIEC(国際電気標準会議)規格の湿度補正係数に修正が必要と思われる。3.それ以外のがいしでは、フラッシオーバ電圧は絶対湿度とともに上昇した。現行のIEC規格の湿度補正は、ほぼ妥当と考えられる。4.高分子がいし外被に使用されるシリコーンゴム表面の水滴に関しては、電圧印加時に振動すること、形状が変化し水滴同士が結合する場合があること、従ってフラッシオーバしやすくなることがわかった。5.シリコーンゴム表面汚損時のフラッシオーバ電圧は汚損直後には低いが、時間経過とともに徐々に上昇し、1週間程度で一定値になることがわかった。