著者
早川 史子 前田 昭子 水野 浄子 南 幸 渋谷 里美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.176-182, 2001-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
27

2000年7月~10月佐賀県の栄養士を対象に茶粥に関する調査を実施し, 次のことが明らかになった1) 茶粥の習俗は佐賀市, 佐賀郡, 小城郡, 藤津郡, 神埼郡, 西松浦郡, 東松浦郡に分布していた. 東松浦郡以外の地域は藩政時代, 鍋島藩の統治下にあった. これらの地域では, 「コメの節約のため朝食に茶粥を食べるように」と強いた藩の命によって食べられるようになったと考えられる.2) 茶粥を食べたことがあると答えた者と食べたことがないと答えた者の間には, 有意差が認められなかった. 食べたことがあると答えた者の中で, 現在も継続して食べている者の割合は, 現在は食べていない者の割合に比べて低く, 佐賀県における茶粥の習慣は薄らいでいることが示唆された.3) 茶粥の呼び名はチャガユ (63%) が最も多く, 次いでチャガイ (18%) であった4) 佐賀県の茶粥には具を入れない場合が多いが, 入れる場合に共通したものはサツマイモと餅である.5) 米の豊富な現在でも茶粥の習慣が残っているのはおいしさと習慣性によるみのと考えられた.