著者
長南 幸恵
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-39, 2014-11-30 (Released:2019-04-25)
参考文献数
54
被引用文献数
1

自閉症スペクトラム児者の感覚の特性に対する支援を検討するために、過去30 年間の国内研究のレビューを行った。医中誌Web 版にて「自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder: 以下ASD)」と「感覚」を検索キーワードとし、対象や内容が関連のないものを除外した結果、52 件であった。これまで医学的診断基準に感覚の特性(過敏や鈍麻:以下特性)が盛り込まれていなかったことが影響していると思われたが、今後は増加していくと予測される。感覚の特性に関する研究では、文献数および扱っている感覚数共に最多であった作業療法分野がその中心を担っていると思われた。ASD 児の半数以上に感覚の特性が生じ、生活の困難と結びつき、その程度や種類も個別性が高い。したがって、個々にアセスメントする必要があるが、誰がいつどのようにアセスメントしていくのかは、今後の課題の1 つである。さらにASD 児の母親は、早期から感覚の特性に気がついていることが多く、それが母親の感じる育てにくさにつながっている可能性がある。したがって、母親の感じる育てにくさから支援を開始することがASD 児の早期診断、早期支援に繋がる可能性があるだろう。
著者
野村 美沙登 小野 裕輝 佐藤 亜樹 長南 幸安
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.101, pp.65-68, 2009-03-30

ポルフィリン類には、ヘモグロビンやクロロフィル、シアノコバラミン(ビタミンB12)などがある。これらの物質は、生命活動に必要不可欠な物質であることから、生徒が興味を持つ物質であることが考えられる。また、近年急速に発達する科学技術に、少しでも興味が持てる高校生を育成したいと考え研究を進めてきた。本研究では、高等学校でも容易に合成できるような合成方法の確立を目指し、実践授業を行うことを目的としている。ここでは、実験時間の短縮、より容易な実験器具が選定できた。
著者
早川 史子 前田 昭子 水野 浄子 南 幸 渋谷 里美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.176-182, 2001-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
27

2000年7月~10月佐賀県の栄養士を対象に茶粥に関する調査を実施し, 次のことが明らかになった1) 茶粥の習俗は佐賀市, 佐賀郡, 小城郡, 藤津郡, 神埼郡, 西松浦郡, 東松浦郡に分布していた. 東松浦郡以外の地域は藩政時代, 鍋島藩の統治下にあった. これらの地域では, 「コメの節約のため朝食に茶粥を食べるように」と強いた藩の命によって食べられるようになったと考えられる.2) 茶粥を食べたことがあると答えた者と食べたことがないと答えた者の間には, 有意差が認められなかった. 食べたことがあると答えた者の中で, 現在も継続して食べている者の割合は, 現在は食べていない者の割合に比べて低く, 佐賀県における茶粥の習慣は薄らいでいることが示唆された.3) 茶粥の呼び名はチャガユ (63%) が最も多く, 次いでチャガイ (18%) であった4) 佐賀県の茶粥には具を入れない場合が多いが, 入れる場合に共通したものはサツマイモと餅である.5) 米の豊富な現在でも茶粥の習慣が残っているのはおいしさと習慣性によるみのと考えられた.
著者
沼田 天 矢野 慎 長南 幸安
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.45-51, 2010-10-20

近年,環境問題やエネルギー問題などの地球規模の問題が課題となっている。それに伴い環境教育の重要性にも目を向けられてきている。持続可能な発展のため,科学技術の重要性と必要性への認識が高まってきた。新学習指導要領では,環境教育のより一層の充実が求められている。中学校第3学年「自然と人間」の分野は,中学校理科の中で最も環境教育と深く関わっている分野であり,環境教育のより一層の充実のためには,この分野の教材研究が必要不可欠である。本研究では,中学校理科で取り扱われやすい環境問題の中でも地球温暖化のメカニズムと温室効果ガスに焦点をあて,二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,ブタンの温室効果の検証実験を行い,その結果とそれぞれの温暖化係数(二酸化炭素:1,メタン:21,一酸化二窒素:310)との関係の考察を行った。また,それらの実験方法を授業に取り入れ生徒に考察,話し合いさせるような授業計画を開発することにより,環境教育の充実を図る。
著者
岡部 知太 平野 一 前之園 良一 中森 啓太 藤原 裕也 南 幸一郎 上原 博史 能見 勇人 稲元 輝生 東 治人
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s356_2, 2022 (Released:2023-02-23)

2020年より現在に至るまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威をふるう中、コロナワクチン(以下ワクチン)の有効性が報告されている。一般人と比べて移植患者のワクチンに対する抗体反応は低いが、腎移植患者が一般人より発症リスクが高いとは断定できない。今回当院通院中の腎移植患者に対するワクチン接種によるCOVID-19発症予防の有効性に関して、文献的考察を踏まえて報告する。追跡できる範囲で2015年より現在までの当院腎移植患者に対して、ワクチン接種のアンケートを行い、回答のあった66名に対して解析を行なった。3名を除く全員が2回以上ワクチン接種を行っている。解析患者の内、5名がCOVID-19を発症した。重症1名、中等度1例、軽症3例である。重症例は、非ワクチン接種者であり、罹患後人工呼吸器下での呼吸管理を行ったが、死亡に至った。その他4名は、後遺症なく軽快した。本邦では、報告時点で約890万人の陽性報告があり、国民の約7%が罹患したことになる。当院におけるワクチン接種群において、COVID-19発症率は6.3%であり、腎移植患者が発症しやすいとは断定できない結果であった。また非ワクチン接種群3人のうち1名がCOVID-19を発症し、重症化したことを考えると、ある一定の重症化予防効果は示唆される。免疫応答が弱いことが報告されている腎移植患者にとって、ワクチンを複数回接種することは、COVID-19発症率、重症化を低減できると考える。
著者
長南 幸恵
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.53-61, 2017-09-30 (Released:2019-04-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

感覚の問題は、ASD 児の半数以上にあり、DSM-5 の診断基準にも新たに加わった。しかしASD 児の感覚の特性と行動の実態は明らかではない。今回は、ASD 児の視覚、聴覚、触覚の低反応と行動の実態を明らかにすることを目的とし、知的障害および言語障害のない年長児3 例を対象に保育活動への参加観察から得たデータを基に質的記述的分析を行った。視覚では視野の狭さにより「無関心」にみえる行動に繋がり、聴覚では感覚の同時処理や言語処理の困難さから「無視」や「無反応」にみえる行動として現れると考えられた。触覚では不確かな体性感覚が見られ、情緒的発達を妨げる要因となる可能性が示唆された。感覚全般の支援として感覚刺激負荷の減少、中心視で対象を捉えられるような視覚支援、ゆっくりと短文で話す聴覚特性への配慮、伸縮性のある衣服の着用や触覚体験を重ねるなどの触覚支援等が重要である。
著者
早川 史子 前田 昭子 南 幸 川井 考子 藤沢 祥子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.259-267, 2000-12-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
24

There are the reports the custom of eating rice gruel made with tea mainly on Western Japan. But its details are not clarified. In order to clarify the eaten reason and origin of it, the range of its custom and distribution in Kyoto, Osaka, Mie, Nara, and Wakayama prefecture in 1999 is investigated by Questionnaire. The Questionnaire was distributed to dietitians (age20-70) living in each area.1) The custom of eating rice gruel made with tea is distributed especially on the border of the prefectures, and also in the seaside districts of Wakayama and Osaka prefectures.2) Next to Wakayama prefecture, Nara prefecture has the most rice gruel made with tea, however this custom in all of them is on the decrease.3) Rice gruel made with tea is called Tyagayu rather than Okaisan by Osaka and Mie prefectures, but called Okaisan by Wakayama prefecture.4) The common materials added to rice gruel made with tea in the five areas are sweet potato, rice cake, and adzuki beans.5) The reason that the custom of eating rice gruel made with tea remains today is that it tastes good.
著者
宮沢 正 中島 邦生 南 幸男 池田 昌彦
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本鑑識科学技術学会誌 (ISSN:13428713)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-98, 1997 (Released:2010-06-10)
参考文献数
10

The pinpoint condensation technique using perfluorated polymer film was applied to the identification of lysergic acid diethylamide (LSD). Rapid solvent elimination for condensation of LSD into a small single residual at room temperature was performed by solvent evaporation on perfluorated polymer film, and the residual was measured by the microscope/FTIR technique. This sample condensation method provided high sensitivity for IR analysis. The detection limit was 2ng. When interfering substances did not exist in the extracted solution from blotter paper of LSD, the extract was able to be measuered simply and rapidly by microscope/FTIR technique. If isolation by preparative TLC was needed, the best elute was ethyl acetate or isopropanol which did not elute interfering substances from TLC plate into the eluent. More than 5 μg of LSD would be detectable by this technique after preparative TLC. We were able to identify LSD by this technique with preparative TLC from blotter paper containing more than 10 μg of it. This technique was useful to identify LSD sensitively from forensic samples.
著者
南 幸太郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.8, pp.1543-1549, 2014-08-05 (Released:2014-08-05)
参考文献数
34

膵臓は異なる2種類の組織,すなわち内分泌組織と外分泌組織から構成されているが,発生上すべての細胞が共通の前駆細胞から分化する.膵臓の発生・分化は段階的に進み,最終的に膵臓ができあがるまで各段階で特徴的な形態を示すとともに転写因子の発現が緻密に制御されている.一般に最終分化を遂げた成体の細胞は,それ以上特性を変化させることがないと考えられてきたが,膵臓の細胞は変化しやすいことが知られ,内分泌細胞間での相互転換や,外分泌細胞から内分泌細胞への分化転換の証拠も見つかっている.膵臓,特に内分泌細胞の分化・再生の仕組みを理解することは,糖尿病の治療へも応用できる可能性を秘めている.
著者
平井 正文 岩田 博英 宮崎 慶子 小山 明男 小南 幸哉
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.31-37, 2012-02-25 (Released:2012-02-28)
参考文献数
16

弾性着衣や弾性包帯の四肢静脈疾患,リンパ浮腫への臨床応用では,圧迫圧と同様に伸び硬度も考慮するべきである.本文では,伸び硬度測定器を用いた弾性ストッキング,弾性包帯の単独使用あるいは種々の組み合わせ下における伸び硬度の測定結果を記載した.伸び硬度は,その組み合わせ方法─2枚の弾性ストッキング,弾性ストッキングの上に弾性包帯,2本の弾性包帯─によって変化するが,各組み合わせの中では,最初の圧迫圧が強く,また軽度伸縮性包帯を一番外側に用いたときに大きな伸び硬度が得られた.各組み合わせの伸び硬度を比較すると,2本の軽度伸縮性包帯を用いた組み合わせが最大の伸び硬度を示し,2枚の弾性ストッキングの重ね着が最も小さな伸び硬度であった.それゆえ,圧迫療法を組み合わせるときには,圧迫圧に加え伸び硬度も考慮し,それぞれの長所と短所を頭に入れて組み合わせ方法を選択するべきである.
著者
長南 幸恵
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-39, 2014

<p>自閉症スペクトラム児者の感覚の特性に対する支援を検討するために、過去30 年間の国内研究のレビューを行った。医中誌Web 版にて「自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder: 以下ASD)」と「感覚」を検索キーワードとし、対象や内容が関連のないものを除外した結果、52 件であった。これまで医学的診断基準に感覚の特性(過敏や鈍麻:以下特性)が盛り込まれていなかったことが影響していると思われたが、今後は増加していくと予測される。感覚の特性に関する研究では、文献数および扱っている感覚数共に最多であった作業療法分野がその中心を担っていると思われた。ASD 児の半数以上に感覚の特性が生じ、生活の困難と結びつき、その程度や種類も個別性が高い。したがって、個々にアセスメントする必要があるが、誰がいつどのようにアセスメントしていくのかは、今後の課題の1 つである。さらにASD 児の母親は、早期から感覚の特性に気がついていることが多く、それが母親の感じる育てにくさにつながっている可能性がある。したがって、母親の感じる育てにくさから支援を開始することがASD 児の早期診断、早期支援に繋がる可能性があるだろう。</p>
著者
沼田 天 矢野 慎 長南 幸安
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.45-51, 2010-10

近年,環境問題やエネルギー問題などの地球規模の問題が課題となっている。それに伴い環境教育の重要性にも目を向けられてきている。持続可能な発展のため,科学技術の重要性と必要性への認識が高まってきた。新学習指導要領では,環境教育のより一層の充実が求められている。中学校第3学年「自然と人間」の分野は,中学校理科の中で最も環境教育と深く関わっている分野であり,環境教育のより一層の充実のためには,この分野の教材研究が必要不可欠である。本研究では,中学校理科で取り扱われやすい環境問題の中でも地球温暖化のメカニズムと温室効果ガスに焦点をあて,二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,ブタンの温室効果の検証実験を行い,その結果とそれぞれの温暖化係数(二酸化炭素:1,メタン:21,一酸化二窒素:310)との関係の考察を行った。また,それらの実験方法を授業に取り入れ生徒に考察,話し合いさせるような授業計画を開発することにより,環境教育の充実を図る。