著者
正木 拓朗 永倉 俊和 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.941-947, 1982-09-30 (Released:2017-02-10)

寒冷下化での運動負荷テストを喘息児8名と健康児5名に行った.マスク着用時とマスクのない場合について同一患者の運動後の肺機能の変動を検討した.エルゴメーター運動の負荷の程度を調べるためVO_2, VEもあわせて検討した.1) 健康児は寒冷時の運動によりFEV_<1.0>の変動は認められず, またマスク着用によりなんら影響をうけなかった.2) 喘息児は寒冷時の運動で著明なFEV_<1.0>, PEFR, V50, V25の低下を認めた.このEIBはマスク着用により予防可能であり, EIBの回復過程にも改善を認めた.3) エルゴメーターの運動は0.035KP/kg, 60回転/分, 6分間の一定の負荷とした.この負荷でVO_2は平均36.6±4.5ml/kg/minであり, 喘息児のEIB検出として適当な負荷と思われた.以上より喘息児の冬季の運動でEIAのため活動を制限される場合, 薬剤でEIAを予防する以外の方法としてマスク着用が勧められる.
著者
秋本 憲一 斉藤 博之 赤沢 晃 橋本 光司 勝沼 俊雄 野々村 和男 海老沢 元宏 永倉 俊和 植草 忠 恩田 威文 福田 保俊 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.96-100, 1990-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

重症のアトピー性皮膚炎患児のなかには食物除去療法, 環境整備, 薬物療法, 免疫療法, ステロイド外用療法等を行っても治療に抵抗するものが結構多い. 重症アトピー性皮膚炎患者が夏休み明けに軽快していることがしばしば経験し, 海水浴がアトピー性皮膚炎の治療に役立つのではないかと考え, 昭和63年の夏にアトピー性皮膚炎患児9名を対象に一週間の海水浴療法を経験し, 好結果を得た. 今回行った方法は, 患者を神奈川県二宮町の国立小児病院二宮分院に入院させ, 食物療法, 薬物療法等の治療に加え二宮町の海岸で午前一時間, 午後二時間, 海岸で海水による皮膚の洗浄を行うものである. 僅か一週間の短期間で通常の入院治療より優れた寛解が得られ, 厳格な食物除去療法のような社会的・栄養的な問題, 薬物療法による副反応等の問題がないため, 海水浴療法は重症の小児アトピー性皮膚炎に対して是非試みるべき治療法と考えられた.