著者
永山 貴宏
出版者
鹿児島大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

平成25年度に作成し、名古屋大学IRSF1.4m望遠鏡に導入した減光率5000分の1の部分減光フィルタの性能評価を行った。その結果、減光率をJバンド:1/5546(±4%)、Hバンド:1/6486(±4%)、Ksバンド:1/6427(±2%) と決定し、これらの値は、1年の間に変化しないことを確認した。なお、これらの値は設計値と最大30%異なるが、値が高い精度で決まっていれば、30%程度の差は、実用上、問題とならない。また、減光部分内での透過率一様性は<0.02等(~2%)以下であり、こちらも実際の天体観測において問題ないことが分かった。現在、このフィルタを用いて、ηカリーナのモニタリング観測を行っている。次に北半球の明るい天体を観測するため、このフィルタを鹿児島大学の1m望遠鏡に導入した。IRSFでの測定と同様の測定を行い、鹿児島においても問題なく観測に使用できることを確認した。さらに、ベテルギウス、アンタレスなどのより明るい天体を観測するため、減光率20万分の1の部分減光フィルタを製作した。このフィルタをIRSF1.4m望遠鏡、および、鹿児島大学1m望遠鏡のどちらにも導入した。実際に、近赤外線で全天で明るいベテルギウスのテスト観測を行い、検出器が飽和せず、観測できることを確認した。以上から、北天・南天のいずれの空で非常に明るい天体現象が起きても対応できるようになった。
著者
永山 貴宏
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

近赤外線観測により、銀緯<±5°のグレートアトラクター領域に37. 5平方度に対して、銀河サーベイを行った。その結果、4360個の銀河を検出した。この領域にはABELL3627、CIZA1324. 7-5736といった大銀河団が存在していることが知られていたが、本研究においては、これらに匹敵するような新たな銀河団を発見することはできなかった。光度関数の比較の結果、Ksバンド10等付近に銀河数の超過を見出した。この銀河数超過を質量に換算すると、~1015太陽質量に相当する。この値は、近年のHIやX線での観測に基づき示された値と矛盾しないが、当初、示されたグレートアトラクターの質量の約10分の1である。