著者
水澤 有香 辰本 明子 伊藤 晋平 小宮山 浩大 小泉 章子 永島 正明 谷井 博亘 南雲 美也子 酒井 毅 山口 博明 呉 正次 岡崎 英隆 手島 保 櫻田 春水 日吉 康長 西崎 光弘 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement4, pp.11-17, 2005-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
3

症例は66歳,男性.1987年西アフリカのシエラレオネから帰国後ラッサ熱を発症し,収縮性心膜炎を合併したため心膜剥離術を施行した.2003年8月より心房細動あり,他院にてIc群抗不整脈薬を投与された.その後持続する心房粗動を認めたため,2004年5月カテーテルアブレーション目的にて入院した.電気生理学的検査を行ったところ,三尖弁輪を反時計方向に旋回する通常型心房粗動であった.三尖弁一下大静脈間峡部への高周波通電中に頻拍周期が延長し,心房興奮順序の異なる心房頻拍へと移行した.頻拍中に右房内をマッピングしたところ,右房後側壁にP波より60ms先行する最早期興奮部位を認めた.同部位への通電により頻拍は停止し,以後心房頻拍,心房粗動ともに誘発されなくなった.きわめてまれなラッサ熱による心膜炎術後例に多彩な心房性不整脈を合併した症例を経験した.